初任者研修のための公開授業だった

 8組での授業。「筒井筒」の3時間目である。今日は初任者研修の一環として、私の授業を見学させて欲しいという依頼を受け、この古典と現代文の授業を1つずつ公開した。さらに、その後で研究協議を行った。7人の初任者の方々+教育センターの指導主事が来訪された。いやはや懐かしい。もう7年も前になるものね。私がセンターにいた時は、このように初任者を連れて授業見学に行くということはしていなかった。でもこれは非常に有効だろうなぁ。授業は、ともかく他の人の授業を見させてもらうことが何よりである。そして、自分自身も公開することである。他人の目を意識することによって、自分自身の授業を見直すことになる。そのような意味でも、今回は私自身非常に勉強になった。授業公開は、実は公開した者自身が一番勉強になる。
 さて、授業は「筒井筒」の2段落目、「風吹けば沖つ白波たつた山……」の箇所である。まずは読みの練習から行わせた。時間的には余裕のない状況だったが、ペアで読みの練習をするところから始めた。音読練習は大切である。それを実践している姿を見せなければ。
 続いて口語訳を進める。「通ひ婚」の形態を説明した後、男が他の妻を持ったことの是非を生徒に聞いてみる。やはり3分の2くらいは男を非難する方だった。そこで、男を擁護する立場を取った生徒に理由を聞いたところ、「もろともに言ふかひなくてあらむやは」の箇所を引き、「仕方がなかったから」と答えてくれた。上出来である。そこで、共倒れになることを防ごうとする男の愛情の表れ、とまとめておいた。
 次に和歌の解釈へと進む。この「風吹けば……」は序詞と掛詞と縁語がある。そこで、掛詞の見分け方、同時にそれは序詞にも通じることを説明する。掛詞は1つの言葉に二重の意味がかけられている。そのため、前後の因果関係が破綻するのである。因果関係が破綻しているところを見つけ出し、そこに掛詞がないかどうか確認させる。生徒はちゃんと「たつ」と答えてくれた。もっとも、教科書の注に書いてあるんだけれどね。
 その後で、女が「いとよう化粧じて」の箇所を取り上げ、この時の男の気持ちと女の気持ちとを確認させる。男は「やはり浮気していたか」と確信したはずであるが、和歌を聞くことにより、女が「男が不在でも身繕いを欠かさないで男を案じている」ことに気づく。そこから「限りなくかなし」とつながることを指摘する。
 予定では大和物語との読み合わせをするつもりだったが、ここで終わり。一応試験範囲は終えたし、次はどうしようかなぁ。