「柏木」の授業

 8組での授業。8組では「柏木」の最後の部分が残っていた。ここは源氏が女三の宮に対して詠う和歌、「誰が世にか蒔きし種かと人問はばいかがいはねの松はこたへむ」の込められた意味を、前後の状況を踏まえながら解釈していった。
 前の部分は、源氏が女三の宮の早すぎる出家を責める場面である。そして後の部分は、女三の宮がこの和歌に対して返歌ができないということにつながる。したがってこの和歌は、源氏の責め立てに対して女三の宮が答えることができないほどに衝撃を与える内容だ、ということになる。
 そうしたことを説明した後で、教科書の脚注にある「いはねの松」が薫になることの理由を考えさせる。「いは(ね)」は「言は(む)」のことだろう。これを生徒に考えさせ、指名して確認する。その後、「薫は何と答えるだろうか」ということから前半部分の意味を考えると、つまりは薫が出生の秘密を問われたら、どう答えるだろうか、いや、薫自身が出生の秘密に気づいてしまうのではないか、そうしたらどうするのかと、母である女三の宮に問い詰める歌であることがわかる。だからこそ女三の宮は答えることができないのだ。
 そうしたことを生徒に説明する。どうやらわかってくれたようだ。やはりこの歌は、前後の関係をしっかり説明することで、その衝撃がよく分かるようだ。
 源氏物語が終わった後で、「師説」の音読をした。