「対照関係を捕まえろ!」プロジェクト活動中

 3組と6組での授業。ちょうど1時間分、3組の方が遅れている。こちらの方が試験までの残り時間が足りないというのに……。
 さて、「ネットが崩す公私の境」である。この内容の対照表を作成させ、該当するキーワードを本文から抜き出させて、それを少し答えさせる。それらを踏まえて私が解説していく。そうした形で授業を進めている。よくあるような、ここの文章内容の流れを黒板に縦書きしながらまとめていくような授業形態はどうも私にはなじめない。文章理解はもっとダイナミックで双方向的で図形的で右脳的であると思う。そこで図解っぽい展開、説明ができる対照表は非常によいと思う。筆者の論の抜け落ちている部分もしっかり分かるしね。しかし、筆者の論法で行けば「インターネットは情報の有用性が保持される」ということになるはずなのだがなぁ。そのことには触れないで、「インターネットは情報のチェック機能が働かない」ということを指摘し始めるのだから。
 私に言わせれば、その2点とも現在では解決されていると思う。梅田望夫氏の著作を読めば、web2.0の時代である現在では、インターネット上の情報の有用性やチェック機能について認めていかなければ何も物事が始まらない。「Wisdom of Crowd」を認めるからこそ、今日のインターネットの意義が分かる。
 今回の評論文は何しろweb1.0時代のものだ。到底現在では通用しない。こんなものを多様化する現代に生きる高校生に読ませるなんて、教科書会社は何を考えているのだろう。「定番化」しつつあるこの教材が、高校教師が読み慣れているからという理由だけで、今後も読み継がれていくとしたら全く持って高校生にとって不幸である。現在という時代を反映した文章を読ませない限り、高校国語教育に明日はない。