平安時代の戦争ってどんなだったんだろう?

 8組と10組での授業。とにかく口語訳を進めていく。途中、どちらのクラスでも義仲が「なんぢと一所で死なんと思ふためなり」の箇所を訳したので、河原合戦の終わりの部分と木曾の最期の冒頭部分のプリントを配り、義仲と兼平との関係や、二人が再び巡り合った時の喜びと信頼とを解説した。「木曾の最期」はこうした周辺知識が、二人の行動を理解するのに不可欠である。その際、8組で合戦の際の戦いの様子について、まるで見てきたかのように話をする。
 時代劇で一人の武者が何人もの敵をばさりばさりと斬り殺していく場面がある。だが、現実にはあれは不可能である。人間を一人斬り殺すと、刀の刀身には人間の脂肪や血糊がべっとりと付着する。何人も連続して斬り殺していけば、もはやその刀は刃物としての用をなさなくなるまでになる。そうなると、合戦での戦いの大半は、斬り殺すというよりも殴り殺すようなものである。
 この知識を頭に入れて、「新手の武者」の登場の意味を考える時、兼平が「今はこれまで」と観念したのもよく分かる。これまでに六千騎やら二千騎やらの大群を突破してきた彼らである。その疲労はもはや頂点に達していたであろう。戦いにおいて何より必要なのは体力である。これは受験勉強でも同じ。最後は「体力勝負」なのである。
 いやぁ、そう考えると、平安時代の合戦模様がリアルに想像できるなぁ。生徒にも伝わったかな。