「KWL」を試してみようか

 「KWL」というものがある。今月の『月刊国語教育研究』に掲載された、足立幸子先生の論文に紹介されている「グラフィック・オーガナイザー」の一つである。

 グラフィック・オーガナイザーとは、「視覚的に表して、組織化するもの」という意味で、文章の構成や思考の過程などを図や表でまとめるのに使用するものである。
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 この中の一つに「KWL」がある。これは「その本の内容について知っていること」「知りたいこと」「学んだこと」「まだ学ぶ必要があること」という項目が一列に並んで表になっているもので、本を読む前には「知っていること(What I Know)」「知りたいこと(What I Want to know)」を書き、読んだ後で「学んだこととまだ学ぶ必要があること(What I Learned and still I need to know)」を書くのである。
 これは、人間が新しい知識を獲得する際の人間の頭の働かせ方に基づいて作られている。人は新しい知識を獲得する際、自分の持っている既有知識の枠組みに結びつけて習得するということだ。それを図で外部化することで、「意図的・目的的な読書を実現させる」(5ページ)ものである。
 足立先生の意図としては、これは1冊の本を、情報を得るという目的の元に読む際に使用するというものだろう。しかし私はこれを、評論文を始めて読む際に有効な学習になると思った。そこで、評論文の学習にぜひこれを用いてみたいと思っていた。
 今、現代文では「ものとことば」が終わる。次は内山節の「時間の自由」である。これを読む際に、この「KWL」を使ってみよう。生徒がどのような反応をしてくれるか、楽しみである。