「芥川」の授業

 8組と2組での授業。どちらも「芥川」にようやく本格的に入る。
 先日の授業ですでに読み方は確認しているので、今日は音読練習から始める。いつもの通り、私の範読の後、個人で音読練習をし、次にペアで音読練習をする。その後、クラス全体での音読。今回は私も一緒に音読する。そのせいか、どちらのクラスも非常にスムーズに読むことができた。私が声を出さないでいると、果たしてここまで上手に読めるかどうか。次はそれを試してみよう。
 続いて冒頭に「昔、男ありけり。」とあるところから、助動詞「けり」と「き」の違いを話題にする。生徒に覚えているかどうか聞いたが、どうやら覚えていなかった。早速文法のテキストを開かせて確認させる。こうやって少しずつ助動詞を自分の頭の中に入れていく。そのうちこれが手で覚えられるようになるといいね。
 そうした「ジャブ」を入れて、口語訳、解釈へと続く。この「芥川」は、この次にAクラスの難易度の箇所が来る。「女のえ得まじかりけるを、」。これには同格の格助詞はあるは、呼応の副詞はあるは、もちろん打消推量の助動詞はあるはで、大変だ。そこで、まず一つ一つ説明していって、生徒に訳させる。どちらのクラスでも、指名した生徒がすぐには上手に訳せなかったのが気にかかる。訳し方を全部伝えているのだけれどなぁ。その一つ一つを「つなげる」ということがまだ慣れていないのかもしれない。
 そのようにして訳していった後、この「男」と「女」の関係について解釈をするよう促す。次のように問うた。

「え得まじかりける」女とはどのような女なのか。

 生徒は「美人」、「高貴な女性」と答えてくれた。素晴らしい! 彼らの推論力は大したものだ。

 その女を「年を経て、よばひわたりけるを」というが、女は男のアプローチにOKしたのか? それとも拒絶したのか?

 生徒は「OKした」と答えた。これまた素晴らしい! しかし、私はポカをやった。そう考えた理由を生徒に聞けばよいのに、私が説明してしまった。「何となく」と答えられる危険性を回避するためだったが、ここをこそ生徒に聞くべきであった。失敗、失敗。
 そこから、「この二人は、相談して駆け落ちしたので、親の許しを得ていなかったのだろう。そのために『夜』に逃げていかなければならなかった。しかし、その『夜』に逃げたことが、彼らの悲劇を呼ぶのだ」と説明した。このように推論していく面白さがたまらない。8組のある生徒はこれらの展開を聞きながら、大きくうなずいていた。
 その後は口語訳を進める。全体のほぼ半分くらいまで進んだ。