朝の読書試行期間最終日

 今日で13日間にわたる試行期間は終わった。平穏なまま今日も終わった。
 この試行期間についてのアンケートをLHRに行った。私のクラスだけの速報だが、まあ、大方の予想通り、きわめて好評である。ただし、「絶対にやめて欲しい」と書いたものが1名いた。これは、「朝の読書のために家を出るのや交通機関に乗るのが早くなり、大変苦痛である」「読書は既に自主的に行っているので、強制的に行われる必要がない」という理由である。他にも「あまり続けて欲しくない」と答えたものが2、3あった。この理由は、「10分間という短い時間では本を読むのが細切れになってしまう」「どうせやるのなら20分間くらいにして欲しい」という理由のようだ。これまた納得できるものだ。
 時間を延長するのは現状では不可能だ。また、現状では本来の始業時間である8時40分より早く始めなければならず、結果として朝の通学に支障を来してしまう。このあたりは本校で朝の読書を実施しようとする限り、避けることのできない問題である。これを解決する手だては、ない。「申し訳ない」としか言いようがない。
 しかし、「読書は既に自主的に行っているので、みんなと一緒に読ませられる必要はない」というのには異議を唱えたい。この教育活動は「みんなで一緒に読む」ことにこそ意義がある。みんなと一緒に読むからこそ、強制的であるからこそ、読書に真剣に取り組むことができる。しかも、読書に真剣に取り組む全体のあの静寂の中で、自分もその静寂を作り出している一人として参加しているという意識を持たせることに意義がある。確かに一人で本を読んでいるのだが、朝の読書のあの時間は「みんなで本を読んでいる」のだ。あの特殊な状況は、そしてたぐいまれなる時空間は、みんなで一緒に読むことによってしか生まれ得ない。私は、強制されることに意味がある、と思っているのだ。
 反対意見はとても貴重である。我々の実践が決して手放しで受け入れられているわけではない、ということを肝に銘じることができる。そして、他の多数意見にも耳を傾けつつ、朝の読書は今回とほぼ同じ形で継続されることになるだろう。「素晴らしい時間だ」「本をじっくり読むことができた」という肯定意見もとても大切だからだ。
 複数の視点を認識することのできた、とても有意義なアンケートだったと思う。