「児のそら寝」の授業

 8組と2組での授業。2組はダブルヘッダーとなった。一気に「児のそら寝」を訳し終える。
 8組では「児のそら寝」の内容確認作業を行う。4人ずつのグループを組ませ、以下の問題について話し合って、グループとしての統一見解を出すように指示した。

  1. 「かいもちひ」とは「ぼたもち」のことか、「そばがき」のことか?
  2. 児はどうして、自分がかいもちひができあがるのを待っていたと思われると「困る」と考えたのか?
  3. 僧たちは何故笑ったのか?
  4. 僧たちが児に敬語を使っていることから考えて、「児」とは何者か? また、「僧たち」とはどういう僧か?

 グループ作業は、生き生きと行っていた。特に今回の課題は、単純に本文から抜き出せばよいものではないこと、また、グループとしての統一見解を出すよう指示したことが、功を奏したのではないか。やはり、グループの意見をまとめさせないとダメだね。
 それぞれの質問について、2名ずつ指名し、黒板に解答を書かせた。
 1の質問では、「ぼたもち」派と「そばがき」派とが出て、大変面白くなった。それぞれの理由を検討するとともに、他のグループにも意見を求めて、理由付けを確認した。私は「そばがき」の方が僧たちが作るものとして適切だと思うが、「ぼたもち」派は、児が寝たふりをするには時間が必要で、すぐにできる「そばがき」は適切ではない、と解答していた。鋭い意見だと思う。
 2の質問では、「児にはプライドがあった」などと答えていた。なるほどと思ったが、私としてはさらにその背景まで答えて欲しかった。これは、児が僧たちに対していい格好をしたい、よく思われたい、という必然性があるのである。後で説明する、「児」=男色の対象、へとつながる重要なポイントである。
 3の質問では、児の返事のタイミングの悪さをどちらも指摘していた。そこで生徒全員に、「僧たちは児の寝たふりに気づいていたか?」と問いかけた。大半が「気づいていた」と答えた。そのことが背景にあることを説明した。
 4の質問は難しい。資料がなさ過ぎる。そこで、『検定不合格教科書 古文』から「児」の姿を描いた絵巻のプリントを配り、その長い髪と女物の着物姿から、彼が男色の対象となっていたことを説明した。うーん、ちょっとどぎつすぎたかなぁ。こう説明した瞬間、生徒の空気が凍り付いたのが分かった。事実は事実なのだが、もう少しオブラートに包んだ表現をすべきだったかな。私はよく分からないが、「ボーイズ・ラブ」をテーマにした漫画がはやっているそうだから、あまり抵抗感なく受け入れてくれるか、と思っていたのだが。これは、他のクラスでは考え直すべきだなぁ。
 ともあれ、古典での本格的な話し合い・学び合いの授業をすることができた。課題設定について、もっと考えていくべきだ。