金魚の死

 我が家で飼っている金魚が1匹、今朝死んでしまった。この金魚は長男の7歳の誕生日プレゼントとして買ったものである。小赤という種類のもので、金魚すくいなどでよく使われるタイプだろう。1匹30円だったと思う。それを4匹買い、リビングで飼っていた。しかし、そのうちの1匹はすぐに死んでしまい、もう1匹は水槽から飛び跳ねたまま死んでしまった。おそらく、残る2匹は雄と雌だったのだろう。そして、その雄が強くて、他の雄たちを蹴散らした結果だったのではないか。
 それ以来5年半が経った。残った2匹は大きく成長した。最初3cmくらいだった大きさが最近では15cmくらいにまで成長した。大きく、強くなっていった。そのため、2回水槽を買い換えた。今では60リットルの水槽で2匹を飼っていた。雄と雌だったらしく、今年の春にはたくさん卵を産んだ。おそらく、今までも産んでいたのだろうが、適当な水草を与えていなかったので、せっかく産み出された卵は親が食べてしまったのだろう。今年は、たまたま水草を入れた時期と卵を産んだ時期がマッチしたらしく、水草におびただしい卵が付着していた。別の水槽に移し替えたところ、たくさんの稚魚が孵化した。ところが、それを私が見落としていたので、稚魚のほとんどが死んでしまった。残ったのは2匹だけ。大切に育て、世話をした。1匹はずいぶん大きくなり、1cmくらいの大きさにまで成長した。最初は金魚らしく見えなかったのに、横から見るとまさに親そっくりの形にまで成長していた。しかし、これも家族の不注意のために死んでしまった。うーむ、我々はだいぶこの金魚たちに冷たい仕打ちをし続けてしまったなぁ。
 さて、本来長男が金魚の飼育係だったのだが、ご多分に漏れずしばらくして飽きてしまった。そのため、1年後くらいからずっと私が主に面倒を見ていた。毎朝餌をやり、3ヶ月に1度くらい水を替え、何とか世話をしてきた。そのためか、この2匹の金魚には大いに情が移っている。
 その金魚の、おそらく雌の方だろう。最近、2匹とも元気がないなと思っていたら、今朝方ついに横になって沈んでいた。よく見ると、えらやひれなどに白いカビのようなものが付着していた。しまった、と思ったが、もはや手遅れであった。私が出勤する少し前に、私の在宅している最中に、とうとう死んでしまった。
 金魚とはいえ、長く世話をしてきたので、悲しいことである。この2匹の子孫を残してやれなかったのが悔いとして残る。また、残った1匹(雄だろうね)の姿を見ると、何となく寂しそうなので、これまた哀れを誘う。私の在宅中に死んだことで、なかなか忠義なことである。残念な出来事だった。