「自然の抑止力」の授業

 1組での授業。試験前最後である。前回は教科書傍用の問題集の問題をバラバラにしたものを解かせ、それをショッピングに見立てて解答を確認させた。その時に起こったクレームとリコールについて話を向けてみたのだが、生徒は恥ずかしがっていたのか何も反応しなかった。うーむ、まだこのあたり、我がクラスは暖まっていないなあ。エンジンでたとえれば暖機運転が十分でないというか、打てば響くような状態ではないというか、レスポンスが遅いクラスである。能力の高い者たちがある程度いるので、逆に相手の出方をうかがってしまうのかな。
 さて、今日は評論文としてのこの文章を読解していくことをポイントとする。本文の論理構造を分析し、段落間のつながり方を意識し、それを通して教科書に掲載されている「学習」の問いに答えていこう、というものである。この教材の末尾に記されている「学習」「発展」はまあまあポイントを突いていて、なかなかよろしい。そこで、これをまとめることで全体の理解を深めようというわけだ。
 ミドリヒョウモンというチョウの生態に関する実験と観察結果から、筆者は2つの質問を提示している。それの解答がどこに書いてあるかを確認させた。その後、実はその箇所は、接続詞・接続語を意識することで限定しやすくなるのだ、ということを板書しながら示す。この文章は、〔問題提起〕→〔反例の不成立を提示〕→〔筆者による解釈〕→〔別の例の提示による、筆者の解釈への支持〕という4段階構造によって筆者の解釈の妥当性を明確に示している。実に精緻にくみ上げられた論理構造である。この4段階を2つの問題提起それぞれにおいて生徒に確認させ、〔筆者による解釈〕の段落の表現を短くまとめることで解答を作ることを示す。そして、実際に解答を板書しながら、どの部分を活かし、どの部分を削るべきなのかを説明する。今回の授業はほとんど評論読解の講習のような内容となった。評論の読解法の説明である。でも、こうしたことを望んでいる生徒は多いのだと思う。単に夏期講習等に参加する生徒のみではなく、全ての生徒にこのような読解法の基礎は示してやってもいいのではないかなあ。
 ということで、何とか時間ぎりぎりまでかかって全文の論理構造を説明し、さらにそこから理解できる背景まで説明し終えた。やれやれ、今回は今までの授業とはうってかわって、私がほとんど話していたな。