三大和歌集比較の授業

 1組での最後の授業。このクラスは終始まじめに私の話を聞き、居眠りする者などほとんどいなくて、集中力をずっと維持していたクラスであった。提出物の提出率は驚異的によい。とても気持ちよく授業のできたクラスだった。
 最初に生徒に、レポートの完成度合いを尋ねたところ、これまた他の2クラスとは違って、完成していた者が3分の2以上いた。そこで、急遽授業の内容を変更して、三大和歌集の特徴比較について私が実際に和歌を解説しながら説明することにした。教科書に載っている大伴家持の歌と紀貫之の歌と、ええーっと新古今は誰だったかな? ともかく「春」の歌を3首挙げて解説した。新古今は、例えば定家の「春の夜の夢の浮橋途絶えして峰に別るる横雲の空」でも挙げた方が、より新古今の象徴性を理解させやすい。でも、残念ながら教科書にその歌は載っていないので、他の歌とした。
 その後で、彼らのレポートを書き込み回覧作文形式で回し読みさせ、コメントを入れさせる。時間がおしてしまい、7人分くらいしか読めなかった。でも、生徒たちは時に楽しそうに、時に真剣に、書き込みをしていた。
 これで今年の古典の授業はすべて終わり。古典は楽しいね。教える内容がかちっと決まっていて、さらにそれをいかにわかりやすく、効果的に伝え、そしてそれをどのように楽しく反復練習させるか、という点で課題がかなり明確だからだ。私の場合、制約事項が多い方が、その制約の中でいかに工夫をするかと燃え上がることになる。今年の古典も、楽しくすべての授業を終えられた。