古典講読で「関連づける」方略を伸ばす

 今日の授業は3コマ。古典講読1つと古典が2コマである。古典講読は源氏物語の夕顔の巻がいよいよ終わる。今年使用しているのは第一学習社の古典講読だが、これに掲載されている夕顔の巻は本当に「夕顔の死」の場面に絞った部分のみが載せられている。そこで、私は教科書のその後の部分をコピーして配布し、紫式部が場面設定や演出にいかに意を用いているかを生徒に示した。時間の経過についての記述がきちんと続いていて、源氏の不安さがよく分かるようになっているのだ。
 さて、それらが終わった後で、生徒に一つのプリントをやらせてみた。これは「関連づける」方略を伸ばす目的で作ったものである。以下の3つの設問からなっている。

  1. 夕顔が物の怪に取り殺されるという怪異の恐ろしさ・不気味さを効果的に表すために、紫式部が用いている演出がよく分かる部分を抜き出そう。
  2. あなたの知っている物語(小説・映画・マンガなど)で、それらの演出と似たものが使われている作品を挙げ、その概略と効果を説明しよう。
  3. 「夕顔の死」についてのあなたの感想を書こう。

 最初、生徒は2番目の他の作品を挙げることがなかなかできていなかった。そこで、私は映画『千と千尋の神隠し』の中で、千尋が迷い込んだ世界に物の怪たちが次々に出現する場面で、あたりが夕方からどんどん夜へと移行する描写方法について挙げ、この程度でも良いことを示してみた。そうすると、生徒たちもようやく手が動いてきた。こうした、今まであまりやったことのない活動に対しては一つの具体例を挙げるのが良いのかもしれない。
 こうして書き上がった生徒の文章を「書き込み回覧作文」方式で回し読みさせる。生徒は級友が関連づけた作品について、興味を深めてくれたようだ。
 私も生徒の文章を読んでみた。彼らはホラー映画やマンガ作品などを挙げており、なかなかちゃんと関連づけができていると思った。しかし、「関連づける」という方略は確かにこれまでの日本の国語教育では十分には育成していないのだね。これは面白そうなテーマだ。
 今日の午後は図書館協議会の中新潟地区司書教諭連絡会に参加した。中新潟地区として各校の取り組みの様子が分かると共に、参加者たちの関心の方向性も分かって興味深かった。