美術部合宿中!

 私は今年、2つの部の顧問をしている。書道部と美術部である。自分が高校生の時、クラシック・ギター部で部長をやっていたことからも分かる通り、私は実は高校・大学時代と音楽と共に過ごしてきた。よって、これまでは吹奏楽部の顧問をすることが多かった。ところが、本校に移って以来、音楽関連にはとんと縁がない。その代わりに、音楽以外の文化部の顧問をすることが多くなった。今までは書道部の顧問だったが、今年は美術部の顧問が加わった。どちらも自分のほとんど知らない分野なのだが、同じ芸術関連であり、関心はある。けっこう喜んで顧問を楽しんでいる。といっても、自分はほとんど関わらず、こうして夏休みの合宿などで顔を出す程度なのだが。
 それが、今年は美術部の顧問である。しかも美術部は校外で合宿をするという。主顧問は一人いるのだが、その方も美術専門ではなく、全く初めてのことなので、今年は私も参加することにした。いやぁ、校外で部活の合宿に参加するなど、何年ぶりだろう。10年以上は経っているな。さらに、美術部が合宿する場所は長野県の飯綱高原だそうな。長野県で宿泊するなどもちろん初めてである。私は初めてのことにはからっきし弱い。出かける前は不安でいっぱいになる。今回も夜中の2時半まで準備にかかり、25日(月)に出発していった。

1日目

 さて、1日目は借り上げバスで長野市まで行き、信濃美術館と併設の東山魁夷館を見学する。信濃美術館はちょうど大原美術館の展示がされていて、日本における印象派の受容とその影響、および大原美術館のその後の収蔵作品を観ることができた。これはすばらしかった。何しろルノアールの絵を直に観ることができたし、ムンクの作品などもあった。意外にも日本における印象派の受容作品が面白かった。そして、東山魁夷館である。いやぁ、ここで東山魁夷の絵をまた観ることができるとは、望外の幸せである。思えば30年前近く、大学生の時に新潟に唐招提寺障壁画の展覧会が来たことがあって、それを知り合いと一緒に見に行ったのが最初の出会いである。それ以来、東山魁夷の絵はずっと好きで、彼の随筆本を読んだり、時々カレンダーを購入したりしていたのだ。今回は彼が北欧へ旅した時をモチーフとした絵が中心に展示されていた。絵はもちろん素晴らしかったが、館そのものがとても素敵な造りで、非常に落ち着いて絵の一つ一つを観ることができた。いやはや、素晴らしかった。
 その後、今回の宿泊地である飯綱高原のペンション「スケッチブック」に向かう。これまた素敵なペンションで、小さいけれど落ち着いていて、何よりオーナーご夫婦がとても気さくで、くつろがせて下さる雰囲気満載である。何しろ昨夜は3時間半くらいしか寝ていないので、このくつろぎ感は本当にありがたい。
 着いてすぐ、本校の美術の非常勤をしておられる先生がわざわざこの地に来て下さり、風景デッサンのレッスンを部員たちにして下さる。正味2時間くらいだったのだが、水彩絵の具の使い方などがよくわかり、部員たちにとても参考になったようだ。また、部員たちもその先生の指示をすぐに受けとめ、自分たちの作品づくりに活かしていた。これまた大したものだ。
 オーナーご夫婦によるおいしい食事と素敵なもてなしを受け、すっかりくつろいだ私は、こうしてMacを現地に持ってきていたのだが、ブログを更新することもなく、バタン・キューで寝てしまう。

2日目

 6時17分に起床。目覚まし代わりのiPhoneが鳴らなくて、寝坊してしまった。慌てて準備をし、6時30分からの部員たちの散歩に付き合う。
 これまたおいしい朝食の後、オーナーご夫婦の車に分乗して飯綱東高原へ。今日はここで1日スケッチ三昧である。私は最も絵心のない人間なのだが、部員たちの真似をして、少しデッサンをする。しかし、彼らは水彩に挑戦しているが、私は色鉛筆で色を塗る。それが失敗したかなぁ。いまいち良い絵が描けない。思えば、高校時代に美術を選択した(させられた)のだが、その時に先生からデッサンを誉められたことがある。だが、色を塗り始めるととたんにダメになる。その状態がまだ続いているようだ。
 昼食は近くの日帰り温泉の食堂でいただく。午後もデッサン三昧。部員たちは3枚くらい描いたようだが、私は午前と午後それぞれ1枚ずつ描いた。
 ペンションに戻り、ゆっくり過ごす。今日もまたおいしい夕食であった。部員たちは花火に興じ、私はこうしてブログを書いている。
 何だかこの2日間、普段の生活とはまるで違う時間を生きている。高原の緑の美しさ、山の深緑の稜線、湖に舞い飛ぶトンボのつがい、林の中に立ち並ぶ瀟洒なペンションの建物、おいしい食事、気の利いたBGM、オーナーの笑顔、etc.何だか、こんな所なら住んでみたいと思わせられる、そんな非日常の時空間である。
 明日は最終日。午前中はデッサンをし、食事の後で学校に帰る。帰りたくなくなっている自分に気づく。明後日は中学生普通科体験入学だ。そこで私は授業を1つしなければならない。その準備に追われる時間が待っている。