「木曾の最期」の授業

 8組と2組での授業。この2つのクラスはほぼ2時間の進度差がある。2組は口語訳を進めており、今日は今井四郎兼平が義仲に自害するよう説得する場面まで終わった。
 この箇所では、義仲が兼平と同じ場所で死にたいとこだわるところが重要である。結局彼は、こんなことを言ってぐずぐずしていたからこそ、自害することに失敗して討ち死にをしなければならなくなったのである。何故、兼平の薦めにすぐに従って自害をせずに、兼平と同じ所で死にたいと駄々をこねたのか。これは教科書に収録されている部分だけでは分からない。そこで、河原合戦のあたりから義仲最期の冒頭部分までの本文をプリントしたものを配って解説をする。義仲にとって兼平は乳母子であり、幼い時よりともに育ってきた肉親同等の存在である。よって、彼のことをきわめて信頼しており、兼平と一緒にいたいと常に思っていたのである。それがために、京より北陸等へ落ちのびれば良かったものを、わざわざ義範軍と兼平軍とが戦っている戦場に向かおうとする。それはひとえに兼平の身が心配だったからである。また兼平も、戦いが不利な状況だと見るや、主君の身を案じて京へととって返す。そして二人は再会を果たすのである。このような二人の関係を知らなければ、ここでの義仲の執着は理解できない。
 そんなことを説明しながら、口語訳を進めている。残念ながら、この段落での最大のポイントである、「御身は疲れさせたまはず」と「御身は疲れさせたまひて候ふ」の矛盾をどう解決するかがお預けになってしまった。
 8組では敬語の復習を十分にやって、それから口語訳に入り始めた。