「秒速5センチメートル」
- 出版社/メーカー: コミックス・ウェーブ・フィルム
- 発売日: 2007/07/19
- メディア: DVD
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YouTubeで大半を観てしまっていたので、新たな感動というのは少ないけれど、それでも全編を続けて観ることによる、その感動は大きい。特に、「桜花抄」における貴樹と明里の幼くも切ない恋模様が印象的である。二人で育んできた幼い想いが、やがて恋だと理解できる、その過程が何とも切ない。
次の「コスモナウト」では、貴樹に恋する花苗の思いのこれまた狂おしく切ないことよ。恋する想いを伝えたくて、それでもその恋する相手は誰か遠くを見つめていて、自分を決して見てはいないことをまざまざと知る時、種子島の宇宙開発センターから打ち上げられるロケットの美しさよ。この映画の中では最も秒速の早いものだろうが、その早い秒速で孤独の中を旅する姿が、貴樹の姿とダブる。
最後の「秒速5センチメートル」はなかなか理解がしづらい。貴樹と明里の、結局は遠く離れていく、その心の距離の遠さを思い知らされるばかりである。なぜ二人はこうなったのか、なぜ二人は互いの気持ちを確認しようとしなかったのか、遠距離という障害はやはり二人の心をつなぎ止めることはできなかったのか、などなど、疑問がたくさん湧いてくる。
この映画は監督自身によってノベライズされている。それを読むのが楽しみである。少しはこの疑問が解消されるのだろうか。いや、解消されないところが良いところなのかもしれない。
ともあれ、期待に違わずいい映画だった。あと、まだ観ていないのは「雲のむこう、約束の場所」だなぁ。