明日の「学年だより」より

 私は1学年の学年だより係である。これは前回の学年の時もそうだったが、今回の学年では、私以外に他の同僚も多く作成してくれている。とても助かる。
 今回の学年だより22号は冬休み直前号である。そのために私は次のような文章を書いた。

あらたまの年の初めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事(よごと)

 題名の和歌は、『万葉集』の編者、大伴家持が詠んだ歌です。「新しい年の初めの今日、降り積もる雪のように、良い事がたくさんありますように」という祈りを込めた、新年の祝いの歌です。

 今年も多くのことがありました。君たちにとっては何よりも「N高校」に入学したことがいちばん大きなことでしょうか。それは「吉事」でしたか? それとも期待していたほどではなかったですか?

 高校は義務教育ではない、というのはもはやほとんど意味をなさないことかもしれません。しかし、その事実は変わりません。君たちは中学校を卒業して、就職して社会に出ることも可能だったのです。でも君たちは高校に進学することを選びました。そして、N高校を受験し、合格した後は入学することを選んだのです。今、君たちがここにいるのは、君たちが選択してきた結果です。

 人生とは選択の積み重ねです。そして、その選択した結果が今の君たちのアイデンティティを形作ります。『ハリー・ポッターと秘密の部屋』を読んだ、あるいは映画を観た人は多いでしょう。この中でハリーは、自分が本当はヴォルデモートの出身であるスリザリン寮にふさわしかったのではないかと悩みます。しかし、終盤でダンブルドア校長はこう言いました。「自分が何者であるかは、自分が何をできるかではない、自分が何を選んできたかだ。」と。ハリーはグリフィンドール寮に入りたいと願いました。その願いが、彼を真のグリフィンドール生にしたのです。

 君は何を願ってこのN高校に入りましたか? 君の願いは何ですか? N高校が君をN高校生にするのではありません。君自身が、N高校生になるのです。君の願いが、そしてそれを実現しようと努力することが、N高校の伝統を作っていくのです。

 自分が何者であるか、自分は今どこに向かおうとしているのか、自分の学習は軌道に乗っているのか、様々に考え直す良い機会でしょう。もう一度、自分の願いを確認してください。また、その願いをさらに大きく持ってください。

「今日降る雪のいやしけ吉事」。今年も大雪でしょうか。その降り積もる雪のように、君たちの来年がたくさんの願いで埋め尽くされるように、我々1学年団は願っています。

自画自賛みたいで申し訳ないが、ちょっとよく書けたでしょ? (^^ゞ