「数は足らでぞ帰るべらなり」の悲痛

 8組と2組での授業。土佐日記「亡児」の最終場面である。土佐をいよいよ離れようとする場面で、幼い女の子を土佐の地で亡くした母が悲しみ嘆く。それを見て作者が「北へ行く雁ぞ鳴くなる連れて来し数は足らでぞ帰るべらなり」の古歌を思い出して、自分の歌を歌うのだ。そのあたりの心情が悲痛である。
 幼い我が子を失った悲しみ、その子を火葬に付したことの嘆き、そしてその地を離れる寂しさ、それらが全て表れてくる場面である。