最初の本格的な『学び合い』は……

 今日は2コマの授業があった。8組と10組である。どちらも動詞の活用を『学び合い』の手法を用いて学習させた。
 どちらのクラスもやり方はほぼ同じ。これまで紹介してきたように、この時間の終わりに20問の小テストを行うことを宣言し、その小テストでクラス全員が18点以上を取ることを課題として設定した。さらに、生徒の名簿番号を黒板に書いて、理解できた生徒はその番号を消すようにと指示して「可視化」を行った。そして、「お互いに教え合い、問題を出し合って、互いに学ぶように。その方が学習効率は上がるのだ」と語りかけた。これまでの知見で、私が理解している限りの『学び合い』の手法を投入して行った。そして、私は何も教えなかった。ただ、理解すべき内容をまとめた「ますらを古典文法」のプリントを配布しただけだった。
 さて、その結果は……? 残念ながらあまりはかばかしいものではなかった。まず、生徒同士の交流があまり活発に起こらなかった。ただ、交流が活発であればいいかというと、そうではない。目的は小テストに18点以上取れればいいのであり、そのための戦略として個人で学習することを選択することは十分にあり得る。しかし、私の期待としては、生徒が席を立って気の合う者同士で机を寄せ合い、学習を始めるものと思っていた。しかし、この2クラスではそうした姿はほとんど観察されなかった。
 小テストの結果もはかばかしくなかった。生徒に自己採点をさせて、課題を達成した者を挙手させたところ、8組で5,6人ほど、10組でようやく10数人ほどであった。「全員」にはほど遠い。なかなか難しいものだ。
 原因はいくつか考えられる。何しろ今日は高校に入学して最初の定期考査の「前日」であった、ということだ。生徒はむしろこの時間を試験勉強に使ったのではないだろうか。動詞の活用だけに集中して学習してはいなかったことが考えられる。また、定期考査への意識が働きすぎて、友人同士で学び合う、という意識が生まれにくかったのではないか。
 他には、消化すべき学習内容の量が多すぎたのかなぁ。9種類の動詞の活用をすべて覚え、示された動詞の活用表を作成するという内容が、与えられた時間だけでは消化しきれなかったのではないか。
 いずれにせよ、始めて本格的に取り組んでみた『学び合い』は、個人的な感想では不調に終わった。条件設定の中で何か不都合があったのか、今後検討していきたい。