4年前のフラッシュバック

 1、2年生は期末考査の真っ最中である。私は今日は2年1組の教室に監督に行った。この教室は、私が最初にこの学校で担任をした時の教室である。本当に不思議なのだ。この教室に入ると、あの4年前のことがまざまざとよみがえってくる。4年前のあの生徒たちの顔、顔、顔。彼らと過ごした時間。それが様々なモノの中に染み付いている。例えば、教室全面の壁にかけてある時計。この時計は、定期考査中の私が監督をしている時間に止まってしまい、生徒からの要望を受けて、私が5分ごとに時刻をアナウンスしていたのだ。そして、そのテストが終わった後に時計を新しく付け替えてもらった。その、まさにその時計が今そこにかかっている。これを見るだけでも、あの時の空気と生徒たちの表情がよみがえってくる。あの頃は私も初めての途中参加の学年で、右も左も分からずに、ただ毎日を必死になって生きていたような気がする。今のように、あれを考えたり、これに悩んだり、今日の午前10時のことに心を悩ませたり、明日からの生き方に思いあぐねたりすることなどは……、多分なかったと思うなぁ。何事も時間を重ねていくのは、良いこともあるが、困ったこともある。まあ、私にとってはやはり、最初に担任した生徒たちの印象はそれほどに強い、ということなのだろう。