ラジオ少年の夢はいずこへ……

 我が家の小学生たちはそれぞれ自由工作をするという。長男はラジオの製作、次男は……、これがなかなか決まらなかった。今日、妻や私といろいろ話をした揚げ句、ようやく船のおもちゃを作ることとなった。そこで今日はその材料を調達しに出かけることにする。
 と、このように順調に進めばよいが、そうはいかないのが峰本家。まず、家族5人で聖書を読むところからすったもんだが始まる。私が家にいるこの5日間くらいは、朝に家族で聖書を1章ずつ読もうとしているのだ。ところが長男が執拗に聖書を読むことに抵抗する。毎日怒鳴りつけてテーブルに着かせることの繰り返しである。よく飽きないで抵抗を続けるなぁ、とある意味感心する。習慣づけを怠った私に対する痛いツケである。
 次には子どもたちは夏休みの課題に取り組ませる。我々夫婦と幼稚園児の娘は家の大掃除をしたり、私は時に娘の相手をして本を読んでやったり、などなどしている間、小学生たちは宿題をやっているはずなのに実は怠けていたり、適当にやったり。うーん、どこのお家もこうなんですかぁ? それとも我が家だけ? 知人の家の子どもは、宿題などもうさっさと終わってしまったとよく聞くんだけれどな。
 このようにして午前中はむなしく過ぎる。結局昼食自体も大いに遅れ、その後で一番最初に書いた子どもたちの目的決定が行われ、午後3時頃にようやく材料調達にアーク○○に出かける。ふう、疲れた。
 ところが、長男のラジオの部品を調達しようとしたら、もう何にもない! トランジスターやICはおろか、コンデンサーや抵抗すらない。何故かLEDは山ほどあったけれどね。そう、この店で一昨年はLEDを使って信号機を作ったのだった。しかし、その他の部品は何もない。モーターやジョイントなどの動力系は豊富にあるが、電子部品は驚くほど貧弱である。そう思っていたら、次男の作ろうとする船のおもちゃ用のスクリューもないのだ。ゴムを引っかけて回すものである。途方に暮れかけたところ、ようやく別のスクリューがあったので、それを加工することにする。やれやれ、次男の材料は何とかそろえることができた。
 キット類は潤沢に揃っていた。「大人の科学」の真空管ラジオや真空管アンプなどがあったし、ELKITの真空管アンプ・キットなども何種類かあった。今はキットの時代なのだね。部品を一つ一つ集めてラジオを作るなどということは、少なくともこの地方都市にはできないことなのだ。秋葉原に行けばいくらでも可能だろうが、新潟市では無理のようである。
 ネットで調べたところ、私の自宅の近くに部品を扱っている店が1軒だけあるそうだ。しかし、そこは高級オーディオの専門店なので、部品1つ1つの値段も高いとのこと。うーむ、こりゃネット通販に頼るしかないかな。
 かつては部品を扱っている店が2軒ほど存在した。私も1軒は知っている。しかし、その店が入っていた大型店舗自体がなくなってしまったので、そのお店も消えてしまった。こんなことになったらラジオ少年はどうしたらよいのだ。あの、トランジスターやICを見て胸をときめかすという経験はもはや夢物語のようである。
 電子工作をしようとすると地方都市は途端にその貧弱さを暴露する。これが地方都市の文化度の低さということになるのかな。