『「本当の学力」は作文で劇的に伸びる』

「本当の学力」は作文で劇的に伸びる

「本当の学力」は作文で劇的に伸びる

 ライティング・ワークショップのMLで紹介された本である。大変期待を込めて購入し、読み進めたが、あっという間に読み終わった。
 というのも、筆者はご自身が主催している塾の塾長なのだが、そこでの作文の通信教育によって子どもの成績が劇的に向上したということをかなり強くアピールするのである。また、受験勉強がいかに本当の学力を伸ばすのに役立っていないかを力説している。それはすなわち、現在の学校教育における受験対応型の授業を強く批判することになる。そして、読解力・理解力を真に伸ばすのは作文であり、その中でも「ストーリー作文」が有効なのだ、としている。まあ、それは良いんだけれどね。
 「ストーリー作文」とは上條晴夫さんが開発した「見たこと作文」とあまり大差ないような気がした。また、本の半分くらいは自身の成果を強調することに費やされ、作文指導についての部分は少ししかない。だから、読み飛ばし法を使ってあっという間に読み終えたのだ。
 こう書くと批判ばかりしているように思われるだろうが、ただこの本は私に「作文」の重要さを再確認させてくれたという点で、とても役立った本である。実は私がリレー物語の創作をやろうと思ったのも、この本を読んで作文の重要さに気づかされたせいでもある。そのように、作文にもう一度取り組んでみようか、と思わせるなかなか良い本である。