大鏡の授業

 7組と8組での授業。7組は「三船の才」を半分ほどまで口語訳した。敬語が多く、そのために省略の多い文章である。逆に言えば、敬語はそれだけ省略を許すことの出来る表現方法だということだ。日本的表現は、饒舌に詳細に描写するのではなく、簡潔に凝縮して表現する。その一端が、この敬語表現にも表れている。そんなことを授業で考えさせるといいのだねぇ。とてもそこまでは発展させられないが。
 8組では「三船の才」における、道長と公任の関係をいろいろに説明する。実はこの話は道長ではなく、その父の道兼の時代に当てはまるそうである。そのあたりを生徒に気づかせるために、道長と公任と、年齢差はどれくらいだろう? と生徒に質問してみた。ところが生徒は、期待した「道長の方が上」と答えるのではなく、教科書の注を参照して、二人が同年齢であることを見つけてきた。うーむ、素晴らしい情報収集力だ。大変に誉めるべき対応だが、おかげでその後に用意していた展開を進めることが出来ず、私の説明はずいぶんあたふたしたものになってしまった。生徒の能力を慶賀すべきなのだが……。ちょっと複雑である。でも、授業にはこんな意外なことも起こるから面白いのだ。