山月記の授業

 4組での授業。今週は何故か4組は3コマもある。そのせいで遅れ気味だった進度が追いついてきた。
 今日は第2段落と第3段落の読み。袁傪が李徴になぜ叢から出ないのかという問いに対する答えを考えさせる。生徒はすぐには答えが2つあることが分からない。「かつまた」という接続詞に気づかないのだ。まだ読み取りの基本が身に付いていないなぁ。
 次に第3段落へ。「戸外でだれかが我が名を呼んでいる」の「だれか」とは誰か? 問いかけだけをして先へ進む。この箇所で考えている李徴の虎になった理由を考えさせる。人間存在の不条理について説明をするが、ここは生徒自身がそう感じられるかどうか、話し合いまたは作文をさせてもよいかも知れない。そして、「理由も分からずに押しつけられたものを受け取って」の「押しつけられたもの」とは何かを確認し、では「押しつけ」た人は誰かを問う。「生きもののさだめ」を引き出し、それが先の「だれかが我が名を呼んでいる」の」だれかであろうと指摘する。
 続いて李徴の悲しみを理解する作業へ。「おれの中の人間」の「人間」とはどのようなものかを問う。「人間としての道徳心」という答えが出た。これは大したものだ。普通は「人間の心」くらいしか答えない。ここは、そもそも「死を思う」ことができる心、またその後の「虎としての行い」とは対置されるものであることからして、「人間を人間らしくする理性・倫理・道徳心」と答えるべきところである。なかなか鋭い読みだった。
 ということで、ここまで。「山月記」は楽しいな。毎回何かしら発見がある。