新潟授業研究会

 11月の定例会が新潟中央高校で行われた。発表者である先生の実践と、そのつまずきやら悩みやらを報告してもらい、それをどうやって解決できるか参加者全員で話し合うのだ。今回は主催者である片桐さんが所用のため欠席であった。もう一人の主催者の牧野さんと私、他4名の計6人の会となった。

スピーチの授業

 最初はスピーチの授業。スピーチを指導し、生徒に2分から3分で自己PRをさせ、他の生徒たちに評価をさせるという授業だ。しかし、スピーチする者はまあまあ話ができるものの、聞いている者の評価が「良かったと思う」程度のごく表面的なものに終わってしまっている、という悩みである。これをどう解決するか、ということだ。つまり、自分の話す内容をきちんと相手に伝えるにはどうしたらよいか、という問題である。
 私は、三森ゆりか氏の実践とディベートの実践から発想し、「再話」を取り入れたゲーム形式の授業に仕立ててはどうか、と提案した。「再話」とは、ある物語を朗読するものを聞かせ、聞いた後でそれをできるだけ完全に再現して書く、というものだ。これは聞く力が付く。と同時に、メモをとる力も付くだろう。スピーカーはしっかりと自分の話したい内容を伝えるように工夫して話す。聴衆者はそれをメモをとりながら聞き、話が終わった後でスピーチを再現する。そして、自分の書いたものをスピーカーに見せて、話した内容がちゃんと再現できているかどうか○を付けてもらうのだ。そして、スピーカーは聴衆者の再話でたくさん○が付けられたらOK。聴衆者も、スピーカーからたくさん○を付けてもらったらOK。というわけである。
 ただし、これをゲーム仕立てにまで持っていくのは難しいだろう。ゲームのように楽しくはできないかもしれない。でも、再話を取り入れることで、まずは聞く力を生徒につけさせたい。

和歌の授業

 次は和歌の授業。1年生で古今和歌集を扱うのに、文法(特に助動詞)をどのように効果的に教えたらよいか。また、和歌の世界をどのようにしてより深く鑑賞させるか、という問題提起である。
 私のアドバイスは2点。まず、文法に関してである。私は、和歌を解釈する際には、頭から訳すな、と指示している。そして、以前の日記に記したように、和歌の中心部分を探させる。そのキーとなるのは係助詞や詠嘆表現、願望・命令表現、助動詞の「べし」「まじ」などである。これらは強調表現であるとも言える。その強調表現をつかまえ、そこが和歌の「言いたいところ」であることを確認した後で、周辺部へ解釈を広げていく。こうした手順により、文法事項に嫌でも目を留めざるを得ないようにしむけるのだ。
 続いて2点目、和歌の世界の深い鑑賞法である。夏休みの1日体験入学での模擬授業で実施したように、絵巻などの絵を見せて、その絵の表現方法を解釈することで作品の内容を深く読ませるという方法がある。
 もう一つ、『伊勢物語』が古今集在原業平関連の和歌と詞書とを増補させて成立した作品であるという説から発想して、個人のしたことを追体験させる面から、好きな和歌を選んで歌物語を創作させることが考えられる。そして、創作した歌物語を全員が鑑賞することで、自分の選ばなかった和歌も深く鑑賞できるというわけだ。ただしこれは、好きな和歌の選択が集中した場合、フォローに困るという心配がある。その際には教員が作ったものを読ませようか。


 ということで、今回も非常に楽しく、エキサイティングに話のできた2時間半だった。