土佐日記の授業

 今日は1・4・9組の3コマ。3クラスともほぼ同じ内容の授業である。4組が若干早かったかな。
 「忘れ貝」の段。船頭に対する悪態から始まり、「寄する波 うちも寄せなむ 我が恋ふる 人忘れ貝 下りて拾はむ」の歌の解釈へと進む。この箇所は4つの重要なポイントがある。

  1. 悪態の部分での「けり」が詠嘆になること
  2. 4日の停泊を余儀なくされ、周囲を見ると美しい貝や石があり、それらを見るにつけて亡き娘を思い出してやまない、という話のつながりを「かかれば」という語で理解すること
  3. 「寄する波…」の歌中にある「なむ」の識別
  4. 和歌の解釈の仕方

 2番目の展開は、さすがは貫之と思わせるストーリーである。虚構も入っているのだろうが、亡女への追憶が自然と促され、涙を誘う。
 4番目の和歌の解釈の仕方は、受験参考書を基に、「ため息のクライマックスを探す」というものである。係助詞や詠嘆、願望と命令の表現のあるところが強調されているところであり、それが和歌の中心部分である。和歌は頭から訳さないで、この中心部分から解釈すべきである、というものだ。今回の歌は冒頭から訳してもあまり問題の起こらないものだろう。しかし、自立した解釈者を要請したい私としては、この手の事項は必須教授事項である。
 おかげで3クラスとも4行くらいしか進まなかった。それもまた良し。この山場を終えれば、後は応用である。