『日本を滅ぼす教育論議』

日本を滅ぼす教育論議 (講談社現代新書)

日本を滅ぼす教育論議 (講談社現代新書)

 長男の所へ見舞いに行く際に読書ができるせいか、このところ読書が進んで、嬉しい限りである。授業での5分間読書もあるので、今年はかなり本が読めそうだ。
 というわけで、この本である。文部科学省課長だった方で、今は政策研究大学院大学の教授である筆者による著作で、日本の教育にまま見られる非論理的な論議について、その非論理性を指摘した本である。いやー、目からうろこの連続で、非常にまっとうな指摘が満載されている。読んでいて大変知的興味を覚えた。
 この本の随所に、日本の教育論議において、第2次世界大戦における日本軍部が行った非論理的論議との共通点が指摘される。日本の論議においては、まだかつての思考的傾向が変化していないことを知らされる。日本という風土にまっとうな論理性を打ち立てるのははなはだ難しいことなのだ。もちろん、私自身についてもそうだが。