教室の後かたづけ

 私の人生の中で1,2を争うほど印象深かった昨日も空け、新たな1日がまた始まった。3年生たちが卒業していった新たな1日である。
 今日は午前中に学校に行った。昨日のLHRの最後に記念写真を撮ったのだが、その時教室の机を全部後ろに下げさせた。そしてそのままにしてきてしまったのだ。そこで、教室に行き、8組の生徒一人一人を思い出しながら、机をきれいに並べていった。何しろこの教室は、来週の火曜日に合格者オリエンテーションに使用する。その時に備えてきれいにしておかなければならない。
 場所・トポスというのは不思議なものだ。そこには誰もいないのに、そして生徒たちの存在を思い出させるような物は何一つ置いていないのに、不思議に彼らの存在を感じる。そして同時にその不在をも。ここで僕たちは笑い、悩み、勉強をし、同じ時を過ごしたのだ。一人一人を思い出し、一人一人にお別れを言う。そして誰もいない教室で教卓の前に立って、昨日涙で言えなかった言葉をそっと口に出してみる。それでも、僕の言いたかったことは、おそらく極めてシンプルに彼らに伝わったのではないだろうか。「ありがとう」。それだけ伝われば十分だ。そう考えて、3年8組にお別れを言った。ありがとう。そして、さようなら。3年8組。
 教室と廊下には生徒の私物が若干残されていた。それをまとめて、全ての作業を終える。