高教研図書館部会研究大会

 今夏の研修の2つ目、高教研の図書館部会研究大会が長岡造形大学で行われた。私は今年から図書館部会の地区幹事になったので、大会の事前に行われる幹事会から出席する。


 幹事会では深刻な問題が提示された。今年から司書の研修は出張扱いにならなくなったそうだ。そのため、これまで行われていた図書館部会の幹事会が、司書の方の場合は出張扱いにならなくなり、開催できなくなっている。研究会に出席するのはOKだが、それも長期休業中のみ、だそうだ。そのために、これまで行われていた幹事会が開催されなくなり、さらに研究大会が夏休み中の開催にずれ込んだという。
 幹事会で話し合われたが、図書館部会は教諭と司書によって成り立っている。幹事会もまた然り。しかも図書館部会は司書の関わりがなければ意味のない部会である。それなのに、司書の参加が出張扱いにならないというのはあまりに理不尽だ。新潟県の公立学校の司書は事務員扱いであるわけだが、その事務の方にだって研修の機会は設けられていよう。それは当然出張になるはずだ。それなのに、司書だけそうした扱いにならないというのはあまりに解せない。これは早急な改善を県教委に求めたい。
 そのような波乱の幹事会を終え、研究大会は始まった。

分科会

 最初に図書館部会としての活動報告と決算・予算の承認が行われた。その後、参加者30数名を4班に分け、図書館に関わる話題を話し合う分科会が設けられた。私は第1班の司会を担当する。しかし、参加者それぞれが抱えている問題があまりに多岐にわたり、与えられた45分間ではとうていまとめきれないし、結論めいたものすらも到達することができない。結局お互いの愚痴の言い合いになってしまう。せめて、事前に例示されていたように、いくつかのテーマごとの班として、その中で話し合いをした方が少しは建設的だったのではないだろうか。司会をしていて、非常にフラストレーションのたまる時間だった。

講演「中世動物物語とその写本」

 午後は長岡造形大学の石原宏教授による講演があった。大学の円形講義室において、スライドや実物投影機などのマルチメディアを使った、大変に興味深い内容だった。
 ヨーロッパ中世において動物を題材にした寓話が多く書かれ、挿絵も多く描かれたそうだ。その写本のファクシミリ版を提示しながら、特にその中の「ペリカン」の意味合いを中心にして、描かれた動物に込められた意味と、それを知ることによってヨーロッパの文化をよりよく理解できることを説いておられた。
 「ペリカン」といえば、ダビデの詩編に出て来る「荒野のペリカン」であろう。それが長い時間のなかで不思議なストーリーを担わされ、それが寓話へと発展していった。そのような寓話が中世ヨーロッパに多く流布していたという。興味深い話である。


 その後は、大学の図書館を見学した。造形大学らしく、図版やデザイン関連の資料がたくさんある。思わずいくつかを手に取り、読み耽ってしまう。午後4時ぎりぎりまでいて、帰ってきた。


 講演や図書館見学は興味深いものだったが、図書館に関わる問題のあまりの大きさに圧倒された内容だった。あまりに前途は暗い、としか言いようがない。学校図書館の、特に新潟県の公立高校における問題はあまりに根深い。どこから、どのようにして手を付けようか。