子ども読書活動推進事業「公立図書館等職員・学校図書館関係者合同研修会」

 という長い標題の研修会が生涯学習推進センターで行われた。10時から15時までの5時間(実質4時間)の研修会である。
 内容は午前中が事例発表、午後が大学の先生による講演である。まあ、ありきたりとは言える。4時間の研修ならば致し方ないとは思うが、もっと本気で子どもの読書活動を推進しようというならば、別の形での研修があり得るだろう。少なくともワークショップ式でなくてはならない。単なる発表や講演を聴いて、「良いこと聴いたなぁ」だけでは何も変わらない。おおっと、そういえばそうしたことをアンケートに書かなかったなぁ。失敗した。

事例発表

 とは言え、内容が無駄だったわけではない。どの発表も講演も、なかなか興味深いものだった。
 最初に、小千谷市立千田中学校の事例発表があった。朝の読書から始まり、図書委員を積極的に活用して、本の紹介などを行わせていることや、国語科で読書感想文を書かせる際に、図書館を有効に利用することなどが紹介された。全校4クラスの小規模校を逆に活かした、小回りの利く取組だった。図書費を生徒から1月100円ずつ徴収しているというのも優れもの。それでも年間50万円程度にしかならないが、良いことだ。
 次に東京学館新潟高校の校長による、朝の読書の一斉取組の事例が報告された。遅刻者が少なくなる、非行が少なくなる、学校全体が落ち着くなどの効果が報告された。興味深かったのは、一斉取組を導入するまでの校長の取組である。私学という特徴を生かして朝読の導入を決定し、図書係に「実施の方向で」検討させ、影響力のある先生を一本釣りで呼びだして朝読の効用を説き、十分な根回しの上に職員会議に提案させて決定していった。このあたりは非常に興味深いことだった。そのおかげで文科省から表彰されたそうで、めでたしである。
 3番目に新津図書館の取組が報告された。学校に本を半年単位でまとめて貸し出していたり、各学校からの調べ学習等の問い合わせをストックしておき、年間でだいたいどのくらいの時期にどの学校がどの分野の本を必要とするから、他の学校との分配を考慮しながら本を用意しておく、等といった非常にきめ細かい取組が興味深かった。「何かご用はありませんか」という、まるでご用聞きのような図書館員の姿勢が、学校にとっては非常にありがたいだろうなと思わせた。

講演「ことばにときめく力」

 午後は新潟青陵大学大学院教授、間藤侑先生による講演である。臨床心理学の先生である。マイクを使わずに肉声で話をされ、肉声の持つ力、インディアンの知恵のことばなどに見られる、非文明社会におけることばの力、知識だけでなく、身体を通して語られる身体性のあることばの力などなど、力のあることばについていくつか紹介された。そして、それらを選び、子どもたちに紹介するのが教師の務め、司書の務めであることを語られた。
 そのような力のあることば、あるいはことばの力を子どもたちに示して、その後はどうするのかな、という疑問は残った。しかし、身体性のない、頭だけのことばばかりを教室空間で使い回していたなぁ、という反省はできた。


 というわけで、総じてなかなか興味深い研修会であった。この夏休み中のお勉強として、少し進歩できたかな。