『生涯最高の失敗』

生涯最高の失敗 (朝日選書)

生涯最高の失敗 (朝日選書)

帰省していた家族を迎えに行く電車の中で読んだ本。田中耕一さんがノーベル化学賞を得た前後の顛末が書かれている部分を読んだ。生活の激変はその通りだろうなぁと思った。

 現場にいて、実際に自分の手を動かして実験をする。そうすれば直接、結果を確認することができます。
 あるいは、実際に自分の手を動かして装置を組み立てる。そうすれば、その装置がちゃんと動いてはたらくのを、実際に確認することができます。(中略) 
 こういった現場でのさまざまな直接の反応を通して、私の手がけてきた技術や製品が役に立っていることを実感できることが、なににも増して、私には貴重なのです。(p77)

このあたりの感覚は、教室という現場で授業をしている私にもよく分かることだ。私も自分でいろいろ工夫して行った授業が、生徒達に受け入れられると大変喜びを感じる。それはそう何度もあるわけではないが、しかし、現場に関わっている限りはそれを得ることができる。それが、現場にいることの意義であろう。


新年度になり、私の知っている人のうち何人かが管理職になった。その人たちの判断をとやかく言うつもりは毛頭無い。ただ、私は、現場にこだわりたい。私の試してみたい授業を行い、その反応を分析し、成果としてまとめていきたい。その繰り返しで十分である。