別れの時

 こうした引っ越し作業の合間に、ずっと本校で尽力くださった同僚たちが転出していくのを見送る。まずは管理職となって転出していく3人を見送った。この中には我々の学年部長もいる。本当にこの学年部長の下で、3年間実に充実した日々を送ることができた。気持ちのよい3年間だった。これは集められたメンバーの組み合わせの良さ(学年部長の努力の賜物である)、そして学年部長の人柄とが大きな要因となっていた。親しみ深い人柄ながら、しっかりとしたリーダーシップを取って、脱線しがちな我々をよく束ねて導いてくれた。本当に、本当に、本当に、気持ちのよい3年間だった。私の教員人生の中でも、特筆すべき3年間だっただろう。
 その時を一緒に過ごした3年担任団のうち、2人ともお別れをする。1人は私の先輩で、別れがたく挨拶を交わして行った。もう1人は前前任校でも一緒だった方で、私は彼と一緒だったからこそ、この3年間を楽しく気持ちよく過ごすことができたとも思っている。お互いに思っていることを腹蔵なく表現することができる関係で、しかも互いに信頼し合える、なかなかに希有な存在である。この、風通しの良さ。何でも思うことが言えて、それでいて後腐れがない。そんな関係を最後まで保ち続けることのできた学年だった。本当に、良かったなぁ。彼とは、引っ越しのドタバタの中でろくに挨拶もできずに別れてしまった。残念である。歓送迎会でまたバカ話をしようね。
 他にも私の同級生、何かと声をかけてくれた方、3年前に一緒に担任団を組んでいた方など、親しみ深い方々、大切な方々とそれぞれにお別れをする。人とは、ある意味で別れをするために人と一緒にいるようなものだ。寂しく、切なく、とても哀しい。思えば、私が一番長く一つの職場にとどまっていたのは6年が最長であった。来年、未経験の7年目を迎える。一つの職場に長くいる者は、それだけ多くの大切な方々との別れを経験しなければならないのだなぁ。寂しいなぁ。
 一人取り残されていくような気持ちのままで、平成21年度は留まろうともせずに過ぎてゆく。