『世にも美しい数学入門』
- 作者: 藤原正彦,小川洋子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/04/06
- メディア: 新書
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そうして家にいる間、読む本がなくなってしまったので手にした本。今読みたいものはみんな学校に置いてあるので、ふと読もうかと思って1年前に買っていたものである。でも、あまり読む機会がなかったが、今日、病院で1時間くらい順番を待っていた間にほぼ読み終えてしまった。多少速読技術を使ったが、それでも読むスピードはあまり変わらないだろう。それほど、内容としては軽い本である。
数学の不思議と魅力については伝わってくるので、その点はよい。ただ、あまりに踏み込みが浅くて、読むのはあっという間である。まあ、このシリーズは中高生が対象だからね。少なくとも中学生あたりに数学の魅力を伝えることができれば、万々歳であろう。私の持っているものは2005年刊ですでに7刷だから、そうした用途には使われているのだろう。まあ、高校生レベルだとサイモン・シン著『フェルマーの最終定理』やマーカス・デュ・ソートイ著『素数の音楽』あたりから初めて欲しいものだ。
- 数について何かを発見するためには、数を転がして、ころころと手のひらで弄ぶことが一番重要なんです。足したり、引いたり、ひっくりかえしたり、想像したりね。……弄ぶというのは、独創に非常に良い影響をあたえます。たとえば美しい文章を読んで理解していても、その人の宝石にならない。暗唱したり、思い出して口ずさんだり、言葉を弄ぶというのが重要だと思いますね。……数学の天才なんかみると、わりあい弄ぶことをやっているんですね。算数とか数学とは限りません。漢文の素読をしたりとかね、物語をお母さんに読み語りをしてもらうとか。……暗唱というのは非常に独創性にかかわることと思います。(p.71-72)
- 人間というのは、何もないところから新しいものを造ることはできないんです。砂漠にいきなり家を建てることなんてできない。真の独創というのはあり得ないんです。必ず他のものと比べてみるということしかできない。古今東西の先人のいろんな例を比べてみるんです。(p.100)
私の心に引っかかったのはこんなものかな?