『世にも美しい数学入門』

世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)

世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)

 風邪は完治しました。木曜日の午後から土曜日の日中までほぼ眠り続けたせいで、私には珍しく早々と完治した。今はほとんど問題はない。ありがたいことである。
 そうして家にいる間、読む本がなくなってしまったので手にした本。今読みたいものはみんな学校に置いてあるので、ふと読もうかと思って1年前に買っていたものである。でも、あまり読む機会がなかったが、今日、病院で1時間くらい順番を待っていた間にほぼ読み終えてしまった。多少速読技術を使ったが、それでも読むスピードはあまり変わらないだろう。それほど、内容としては軽い本である。
 数学の不思議と魅力については伝わってくるので、その点はよい。ただ、あまりに踏み込みが浅くて、読むのはあっという間である。まあ、このシリーズは中高生が対象だからね。少なくとも中学生あたりに数学の魅力を伝えることができれば、万々歳であろう。私の持っているものは2005年刊ですでに7刷だから、そうした用途には使われているのだろう。まあ、高校生レベルだとサイモン・シン著『フェルマーの最終定理』やマーカス・デュ・ソートイ著『素数の音楽』あたりから初めて欲しいものだ。

  • 数について何かを発見するためには、数を転がして、ころころと手のひらで弄ぶことが一番重要なんです。足したり、引いたり、ひっくりかえしたり、想像したりね。……弄ぶというのは、独創に非常に良い影響をあたえます。たとえば美しい文章を読んで理解していても、その人の宝石にならない。暗唱したり、思い出して口ずさんだり、言葉を弄ぶというのが重要だと思いますね。……数学の天才なんかみると、わりあい弄ぶことをやっているんですね。算数とか数学とは限りません。漢文の素読をしたりとかね、物語をお母さんに読み語りをしてもらうとか。……暗唱というのは非常に独創性にかかわることと思います。(p.71-72)
  • 人間というのは、何もないところから新しいものを造ることはできないんです。砂漠にいきなり家を建てることなんてできない。真の独創というのはあり得ないんです。必ず他のものと比べてみるということしかできない。古今東西の先人のいろんな例を比べてみるんです。(p.100)

 私の心に引っかかったのはこんなものかな?