『作家の時間』

作家の時間―「書く」ことが好きになる教え方・学び方(実践編) (シリーズ・ワークショップで学ぶ)

作家の時間―「書く」ことが好きになる教え方・学び方(実践編) (シリーズ・ワークショップで学ぶ)

 帰りの新幹線の中で読み終えた。これは『ライティング・ワークショップ』が上梓された後、小学校の先生方がチームを作って行った実践を元に書かれた「ライティング・ワークショップ」の日本版である。単なる実践例周ではなく、ライティング・ワークショップを実践するための手引き書であり、その中で日本での実践例が活かされている。
 この本の一番最後に教科書教材である「スイミー」を使ったライティング・ワークショップの実践例が載っている。これがとても参考になった。もっとも、「スイミー」の読解の実践ではなく、「スイミー」をライティングのテクニックを考えさせるための素材としている。それでも、教科書教材を使えるという実践は貴重だ。
 考えてみると、学習指導要領にも「書くこと」の指導はきちんと取り組むように書かれている。しかも時間数まで書かれている。しかし、現場ではその時間をきちんと守っている学校はほとんどないだろう。高校ではなおさらのことだ。国語総合では15単位時間を「話すこと・聞くこと」に、30単位時間を「書くこと」に割り当てるよう指示されている。それらの領域は例えば教材の読解指導の中で行われても構わないとは思う。それでもこれらの領域への手当は余りにも手薄だ。
 そうしてみると、ライティング・ワークショップを継続して実践することは、むしろ当たり前なのだろう。しかも子どもの学力が伸びるのならば、これに越したことはない。
 上記のプロジェクト・ワークショップでの成果が、この本の中学・高等学校編して結実するといいなぁ。その一端を担えたら、もっといいなぁ。