高教研図書館部会研究会

 上記の研究会が新潟市図書館(ほんポート)で行われました。ほんポートを会場に選んだことは実にグッドチョイス!です。そして、この図書館のアットホームな雰囲気と、今日の研究会のメインの内容とは実にマッチしていました。楽しい研究会でした。
 今年は埼玉県立春日部東高等学校の司書であられる木下通子さんをお招きしました。木下さんは学校図書館関係では名の知れた司書の方です。実際、実にエネルギッシュに、ユーモア溢れた方でぐいぐいと図書館運営をなさり、読書活動しておられます。この研究会でも明るく親しみやすく、ユーモアたっぷりに、ガンガンお話をされていました。(^_^)
 午前中は「図書館と教科『情報』との連携」というテーマで講演がありました。図書館活動と教科指導との連携というテーマは私のテーマとまさに一致しておりますので、非常に興味深かったです。春日部東高校は進学校で、赴任された当時は私の勤務校と同じく図書館には机が2クラス分ほどあったそうです。それを、信念と行動力と茶目っ気とで机を半減させ、本を前面に出して行かれました。そして、生徒のリクエストに応じて本をバンバン導入し、またソファなども入れて、生徒たちが楽しんで様々な本を手に取ってくれるような図書館作りをされました。さらに、教科との連携を積極的に推し進めました。同校には人文科があるそうで、その独自科目として近現代の作家研究をゼミ形式で行う授業や卒業論文などに図書館を活用するのはもちろんのこと、総合的な学習の時間でも図書館の利用法やら資料の検索法やらを司書である木下さんご自身が率先して行うそうです。さらに、立ち上げたばかりの教科「情報」においても調べ学習で図書館を活用したり、専任の情報科の先生が来てからは「旅行の企画書を書こう」という授業を展開する中で、図書館の活用をばりばり進めていったそうです。
 いや、そのバイタリティの強さ、信念の強さ、そして、数々のアイデアとそれを実現させるための努力など、特筆すべきことはたくさんあります。確かに図書購入費が新潟県の10倍くらいあったり、司書の意識が高い伝統があったりはしますが、やはり木下さんご本人の意欲がこれらの活動を支えているのだと思いました。
 午後は木下さんによるブックトークの解説と実演がありました。「いのち」と題したブックトークは実に感動しましたね。私はブックトークを聞いたのは2度目ですが、どちらも深い感動を得ました。場数を踏まれているせいもありますが、木下さんのブックトークも抑制された演技で深い感動を与えてくれました。
 午前中の講演の後で、私は質問しました。国語科と図書館との連携のあり方について、そして、自習室と化している図書館を真の図書館とする際に抵抗はされなかったかという点について。どちらも、大変示唆に富むコメントをいただき、とても満足しました。以下に、少しメモを書いておきます。

  • 国語科と図書館との連携においては、教材をもっと読みたい、関連する本をもっと読みたいという気持ちにさせることが主眼である
  • 小説等を扱う時、その作家の他の小説を紹介する際に朗読をしたり、ブックトークをしたりする。その際に司書が朗読やブックトークをするゲストティーチャーとして協力できる
  • その作家に関連した本を図書館に特設コーナーとして設ける。古典作品(源氏物語)などを扱う時には絵巻なども用意し、特設コーナーを雅な雰囲気に飾って、生徒たちにアピールする
  • そのために、司書は教員とコミュニケーションを取り、教員がどのような授業をしているのかの情報を集めておく必要がある
  • 教員のリクエストを待つのではなく、司書が教員とコミュニケーションを取っていく中で、授業に必要そうな本を先回りして用意しておく

 すべてが終わった後、新潟市図書館の見学会が行われました。新潟市図書館は「滞在型図書館」ということで、利用者がず〜っといたいと思うような図書館作りがなされています。その裏方の資料整理の現場(自動制御の蔵書棚!)や、私が通って見知っている内部の様子などをさらに詳しく見せていただきました。本当に、この図書館の雰囲気と今日の研究会の内容とはベスト・コンビネーションでした。事務局の方々、お疲れ様でした。素晴らしい研究会でした。