『『こころ』大人になれなかった先生』

『こころ』大人になれなかった先生 (理想の教室)

『こころ』大人になれなかった先生 (理想の教室)

授業で『こころ』をやっているので、その参考にと思い読んだ本である。石原千秋漱石論だが、対象を高校生クラスにしているシリーズの1冊であり、非常に読みやすく、また彼らしい読み方を披露している。テクスト論の観点での読み方の一つのお手本のようだ。
Kの自殺の原因が、彼が孤独を意識したためだ、という指摘は私にとって新鮮であった。『こころ』については、私が大学時代に試みた読解が私の基礎になっているのだが、その際にもこのKの死因が今ひとつ掴み切れていなかった。腑に落ちた読み方だ。