4領域を区分することに意味はある?

 今日、『教育科学 国語教育 2016年10月号』が手元に届きました。特集は「アクティブ・ラーニングの視点から考える 対話的・協働的な学びを実現する学習活動」です。「対話的・協働的な学び」とは私の研究課題にドンピシャリですし、東大の秋田喜代美先生が提言を書いていたり、石川晋氏がライティング・ワークショップの実践について紹介したりしているので、参考になるなと思って買い求めました。
 その目次を見てびっくり。最初に秋田先生の提言があるのはいいとして、その後で「対話的な子どもを育み協働的に学ぶ力をつける」という文言をそれぞれに冠して、「話すこと・聞くこと」の学習活動、「書くこと」の学習活動、「読むこと」の学習活動、と3つに区分されて提案や事例が掲載されているのです。私はこれを見てひどく違和感を覚えました。「対話的・協働的な学び」を4領域・3区分に分けて論じるのはどんなものなのでしょうか。
 「話すこと・聞くこと」の区分を少し読み、事例を見てみました。ペアスピーチの事例などがありました。それぞれはおそらく優れた実践なのでしょう。しかし、「話すこと・聞くこと」を効果的に学ばせるのは「ブッククラブ」だと、この夏の勉強で私が理解したところです。ブッククラブは一般的に「読むこと」の学習活動とされているでしょう。しかし、ブッククラブを実際に体験した者の感想としては、これは「話すこと・聞くこと」の力を存分に伸ばす活動だ(「メールによるブッククラブ」ならば「書くこと」の力を伸ばします)だと確信できます。ブッククラブを実践すると、学習者は「読むこと」だけでなく「話すこと・聞くこと」はもちろん、「書くこと」も非常に必要になります。よって、これらの力を全て、よく伸ばすことができます。そうだとすると4領域に分けることは無意味です。むしろ、これは「読むこと」、これは「話すこと・聞くこと」などと区別するのではなく、4領域の力全てを必要とし、それらを発揮することを求める学習活動に取り組ませることこそが良いのではないでしょうか。
 そして、そうした姿こそが、人が物事を理解する自然な形だと思います。あることを理解するのに、今日は「読むこと」だけを使って考えよう、次は「話すこと・聞くこと」を使おう、とはしないでしょう。あることを理解するためには、本を読んだり、人と話したり、人の意見に耳を傾けたり、知り得たことを書いてまとめたりします。その一連の活動の全てをもって、あることを理解していきます。理解するために、それに用いる力を分断するのは意味のないことです。
 事実、ライティング・ワークショップの実践を投稿している石川晋氏の原稿のタイトルは「「対話」が当たり前にある作文活動」です。つまり「書くこと」の学習活動である事例の中に「話すこと・聞くこと」が当たり前に存在しているのです。ライティング・ワークショップとはそうした活動です。確かに「書くこと」の力を伸ばすためのものです。しかし、この実践を行うと、「書くこと」だけでなく「話すこと・聞くこと」も「読むこと」も伸びていきます。それが「当たり前」の姿です。
 今夏の勉強の成果の一つとして私が知ったことは、教室で行われている授業やその内容は一般的に行われている場面や姿とは何ともかけ離れているなぁ、ということです。教室では教師が知っていることを学習者に質問(発問)し、それを学習者が当ててみせると「良い授業」だと言われます。しかし、それって「正解当てゲーム」ですよね? そんなことは私たちの会話の中にも、あるいは本を読んでいる中にも、一切存在しないことです。「正解当てゲーム」はテレビの中だけかと思ったら、何と学校の教室の中でも行われています。それは決して「一般的なもの」「普通の姿」ではありません。
 教室での学習は私たちの日常生活の中で起こる様々な学びの姿とはかけ離れたものである、このことは意識しておくべきことだと思います。そして、私たちは教室での学習にも、日常生活で起こる学びの姿(いわばそれは「本物の姿」)を取り入れていくべきではないでしょうか。何しろ子どもたちは1日の大半を教室以外の場所で生活しているのですから。
 もちろん、『国語教育』に載せられている実践事例は、たとえ「読むこと」の区分に入れられているものであっても「読むこと」ばかりを取り扱っているのではないことは重々承知しています。石川晋氏の事例はまさにその好例ですしね。ただ、雑誌の編集の仕方として3区分がドカーンとなされていることに、私はかなり面食らったのでした。

最後の骨休め?

 昨日、三男は幼稚園の運動会の代休だったため、私も振替休日を取って、三男と一緒に遊びに出かけました。私には珍しい行動です! (^_^;)
 当初は彼が「遊園地に行きたい!」と言っていたので、そのつもりでいました。しかし、雨が降りそうだったので、代わりに屋内プールで遊ぶことを提案していました。当日の朝、雨は降っていなかったのですが、三男は断然プールに行きたい! とのことだったので、吉田町にある「ビジョンよしだ」という屋内プールに行ってきました。ここは屋内プールがあると同時に、屋外の屋根の着いた場所に大きな遊具があるのです。そこで、午前中はその遊具で遊び、午後は屋内プールで遊ぶことにしました。彼は、意外にも遊具ではそれほど喜んでは遊びませんでした。何しろ彼と私の二人しかいないせいなのかもしれません。その代わり、午後の屋内プールでは彼は大はしゃぎ! 流れのあるプールと幼児用プールの間を行ったり来たりして、たっぷり2時間を遊び続けました。驚いたのは彼の泳ぎの上手さです。ゴーグルを着けてとはいえ、水の中に入るのを恐れず、少し泳いだりして楽しんでいました。浮き輪を持っていったので、それにつかまったりしましたが、浮き輪無しでも十分に楽しんでいました。いやぁ、意外でした。こんなに泳ぐことが好きで得意なら、これからも続けさせようかなぁ〜と思いました。
 参ったのは私です。2時間の遊びにほぼ付き合い、終わり頃には私はフラフラしてしまいました。その後はお風呂に入り、少し休憩し、帰りに別の公園に寄ったりして、三男との一日を楽しみました。こうした機会はあまりないので、たまにはよいかなと思います。これからは、たとえ休日でも私の予定が詰まっていたりするので、彼と思いっきり遊べるのは今年は最後かもしれません。良い時間を持てたと思います。

後期オリエンテーション

 本学の幼児教育学科は今日、後期オリエンテーションを行いました。午前中は2年生、午後は1年生が久しぶりに登校し、オリエンテーションを受けました。
 およそ1ヶ月と10日ぶりの登校です。新潟市の空はどんより曇り、小雨や本格的な雨が降ったりしていました。その中で、久しぶりに学生たちの顔を見、その声を聞くことができてよかったと思います。後期に向けての諸連絡をし、後期の授業登録をさせました。
 私は、後期の授業においていくつかの「冒険」をしてみようと思っています。私が担当する科目は主に3種類なのですが、それぞれに昨年までにはなかった要素を加えようとしています。これらの新要素は自らが企画した公開講座及び全国保育者養成セミナーでの見聞が元になっています。こう考えると、この夏期休業中の成果はまあまああったと言えるのかな、と思います。
 実は、休業中に進めようとしていたことは(相変わらず)ほとんど進みませんでした。意外に雑務があって、それに時間を取られてしまったこともありました。よって、私的には低評価の夏期休業ですが、成果としてはまあまあだと言えます。
 一般的に見て、読書で得られる情報を1とすると、人に会って話を聞いたり研修に参加したりして得られる情報は10、自分で企画して得られる情報は100くらいあるような気がします。今回は読書以外の方法で得た情報を元に授業改善の試みができそうです。
 そうした新しい試みの授業を、今日会った学生たちはどのように受け止め、またどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか、とても楽しみです。そのための準備にいそしまなければなりませんが……。頑張ります。

「絵本探究」の準備

 先月、盛岡市で行われた保育士養成セミナー・研究大会に行ってきました。その研究大会で聞いたポスター発表の中に、「絵本探究」を授業に取り入れている帝京大学の杉本先生のものがありました。その発表を聞いて、私はリーディング・ワークショップとの関連を強く感じました。
 杉本先生の行われたものは、
 1)あらかじめ選んでおいた6冊の絵本をじっくりと学生たちに読ませて気づいたことをまとめさせる
 2)6冊から1冊を自由に選ばせてグループを組ませて絵本について発見したことや感じたことを話し合わせる
 3)絵本の作者や時代背景などを参考資料をもとに調べさせる
 4)グループでまとめたものを発表させる
といったものでした。この、学生たちにじっくりと読ませるところと6冊とはいえ、その中から自由に選ばせて探究させるところがリーディング・ワークショップと似通っていると思ったのです。
 そこで、後期の1年生向けの授業の中でこの「絵本探究」をさせてみようと思っています。杉本先生のノウハウをお借りし、私なりのアレンジを加えて、4回くらいをかけて授業をしてみたいと思います。今日、本学の図書館司書と相談して、絵本の複本を用意できるかどうか聞いてみました。なかなか微妙なところでした。もしダメなら市立図書館と相談しようかなぁ。
 杉本先生が選ばれたのは次の6冊です。帝京大学杉本真理子先生、まことにありがとうございます。大いに参考にさせていただきます。

もりのなか (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)

もりのなか (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)

またもりへ (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)

またもりへ (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)

三びきのやぎのがらがらどん (世界傑作絵本シリーズ)

三びきのやぎのがらがらどん (世界傑作絵本シリーズ)

かいじゅうたちのいるところ

かいじゅうたちのいるところ

わすれられないおくりもの (児童図書館・絵本の部屋)

わすれられないおくりもの (児童図書館・絵本の部屋)

おじさんのかさ (講談社の創作絵本)

おじさんのかさ (講談社の創作絵本)

 これらの絵本は、先生がこれまでの実践を踏まえ、学生たちが探究しやすいものをということで選ばれたそうです。私も、まずはこれらの絵本でやってみたいと思います。
 私が今年、学生たちに個別の実践発表をさせたところ、学生の大半は絵本の読み聞かせをしました。彼らの選んだ絵本は、よくもまあダブらないものだと思うほどさまざまなものでした。しかし、上記の6冊の中から選んだ者はあまりいませんでした。しかし、これらの絵本はやはり幼児教育に携わる者は一度は触れるべき本だなぁ、と思います。そうした意味でも、この「絵本探究」の授業は意義深いのではないかと思っています。
 まあ、どうなりますでしょうか。実際に授業を初めてみて、学生たちがどのように動いてくれるか、です。私はお膳立てをして、後はファシリテートし、カンファレンスに努めようと思います。

充電の日々

 後期の授業開始まであと10日ほどとなりました。やるべきことは目白押しなのですが、ついつい自分の充電に時間を費やしてしまいます。どうもよくないなぁ〜。(^_^;)
 昨日は長岡の集会に行って、聖書の特別学び会に参加しました。二人のクリスチャンの方が午前と午後、それぞれ2回ずつ学んでくださいます。良い時間ですね。天候がはっきりせず、暑いのか寒いのかはっきりしないぐずついた気温であったため、やや過ごしにくかったです。しかし、学びの内容は幸いなものでした。お二人のアプローチが本当に対照的で、興味深かったです。いろいろと個性があるものだなぁと思います。
 今日は出勤して、来週に迫ったゼミ旅行の計画をゼミ長と立てていました。夏休み中なのでゼミ員も十分に集まることができず、相談もしづらい状況でした。そこで私も少々出しゃばってお手伝いをしました。これで何とかゼミ旅行も実現できそうです。
 今日は新潟市は大変肌寒い気候です。終止ぐずついた天気で、気温も20度くらいまでしか上がらない様子です。私にとっては過ごしやすいのですが、急に夏の暑さが終わって、体がついていけない感じです。おかげで少しバテ気味。体調管理をしっかりして、後期の準備に当たろうと思います。

振り回された日

 昨日はほぼ1日、子どもに振り回されました。
 私にはまだ幼稚園児の息子がいます。昨日、その彼は朝、なかなか起きられませんでした。そのせいか、ようやく起こした後もぐずぐず言い、「幼稚園にはゼッタイ行かない!」と駄々をこね始めました。私はとりあえず午前中の予定はなかったので、仕方なく彼に付き合い、気が紛れるまでと家にいました。しかし、とうとう彼の意志を変えることはできませんでした。そこで、幼稚園には欠席の連絡を入れ、彼が「一緒に行きたい」と言うので、私の研究室に連れて行きました。そこで昼食を食べたり、彼お気に入りの恐竜の動画をYouTubeで見せたり、なんだかんだと時間を過ごしておりました。その後、中学校の先生方との指導案検討会に出席しなければならないため、家内も連れ出して出先に行ってきました。
 結局、どうやら彼は幼稚園の友だちとトラブルがあったようです。一昨日に友だちから嫌なことを言われ、その時は謝ってもらえたものの、彼としてはその嫌な気持ちがぬぐえなかったのでしょう。幼稚園に行くこと自体に嫌悪感を持ったようですね。まあ、無理に行かせずに,たまには心を休ませるのもよいかと思って対応したのですが、よかったのかな。
 寝不足もあったのでしょう。また、長男が火曜日に進学先に行ってしまい、長男になついていた彼にとってはそれも心の不安定につながったのかもしれません。FaceTimeで長男とテレビ電話をした際、彼は泣き声になっていましたしね。今年は、長男が家を出て行って初めての夏休みでしたから、家族全員の心にいろいろと波風の立ったことなのでしょう。私も含めて。

授業準備の本格的開始

 今日は三男は無事幼稚園に行きましたので、私は通常の出勤です。後期の授業準備を本格的に開始しました。これまでも少しずつ考え、用意はしてきました。しかし、来週は祝日が何日かありますし、後期オリエンテーションもあるので、自分でじっくり考える時間を持てる日数はそう多くなくなってきました。そこで、少し本腰を入れて整理し始めました。やはり、実際に書いてみると準備の不備が見えてきます。考えているだけでは分からないことも分かってきます。やり始めてよかったなと思います。さらにブラッシュアップしていこうと思います。

教科書を変えると大変だ

 そろりそろりと後期の授業準備を始めました。やりたいことはたくさんあるのですが、まずはその中でも「必ずしなければならないこと」を優先に……。業務管理を自分でしなければならないので、なかなか大変です。
 今回の一つの挑戦として、2年間使い続けた教科書を別のものに変更しました。新刊の見本が送られてきて、パラパラ見たところ私の扱いたい内容がかなり網羅されているものだと思ったので、思い切ってそちらに変更しました。そして、今日はその本を少しずつ読み進めながら、授業準備をしていこうとしました。しかし、読み進めてみて、これはけっこうな手直しが必要だなということが分かりました。
 私の授業はMacKeynoteで作ったスライドを中心に進めていきます。このうち、今回教科書を変えた科目はかなり教科書の内容に準拠したものです。そのため、教科書を変えればKeynoteの内容も変えねばなりません。今日、改めて昨年のKeynote資料の内容と新しい教科書の内容とを見比べてみて、けっこうな違いに驚かされたわけです。いやぁ、困ったなぁ。ここまで違うとは……。というわけで、しばらくは新教科書を確認しながら、Keynoteの作り替えに腐心しなければなりません。

ラノベジュブナイルの変形かな

 そして、今日は1冊の本を読み終えました。新潟市立の図書館から借りたもので、ちょっとラノベ風なものなのですが、これです。

 Amazonでふと見かけてレビューを見て、悪くないなと前から思っていたものでした。購入する前に図書館で借りたらいいやと思い、借り出して読み出したところ、これは私の趣向に合っていました。純然たるラノベではないのでしょうが、表紙がいかにもラノベですね。ただ、挿絵は一切つきません。シャーロック・ホームズコナン・ドイルによって書かれているような時代、ある貴族の兄妹と兄の寄宿舎時代の後輩の3人が織りなす、古典作品の内容を踏まえたミステリーものです。『ビブリア古書堂の事件手帖』と似た趣向のものですね。ビブリアほどには構成が緻密ではありませんが、軽く読むにはよいものです。さっそく第2巻も図書館に予約しました。
 私は、実はラノベがまあまあ好きなのです。何でもかんでもではなく内容は選びますが、でも決して嫌いではありません。これは長男の影響ですね。彼がはまっていたアニメの原作をふと読んで以来、好みになりました。私は元来、ジュブナイルが好きなのです。『時をかける少女』に思いっきりはまったものです。かつて、NHKで「少年ドラマシリーズ」というのを放送していて、私はこの番組の大ファンだったのです。そのせいか、ジュブナイルは私の主要な読書ジャンルの一つです。ラノベは、内容を選びますが、このジュブナイルの変形ヴァージョンと考えてもよいのかな、と思います。
 特に心的エネルギーが枯渇しているとき、この手の読み物は心を慰めてくれますね。今の私にはとても必要なものです。図書館から借りてから数日、時間を惜しんで読み進めました。こんなことは久しぶりです。よいことだな、と思います。