卒業生の訪問

 今日の授業は3コマ、古典講読が1つ、古典が2つであった。古典づくし。ハードだが、楽しい授業であった。古典の授業は現代文と比べて気楽である。何しろ、教えるべきことが比較的明確であり、それを生徒に提示し、確認させながら進めていけるからね。さらに、登場人物たちの心情を考えさせるという楽しい問いも立てやすい。その点、現代文は一から自分で授業を作り上げなければならない。大変な反面、成功した時の充実感は半端じゃない。ただ、その確率は決して高くないけれど。
 そんな中、嬉しい訪問があった。6年前の卒業生、I君が尋ねてきてくれたのだ。私が勤務校で最初に担当することのできた卒業生クラスの一人である。彼はその後何度か高校に来てくれていたし、私も会っていた。ただ、ここ数年は音沙汰がなく、どうしているのかなと思っていた。今日の彼の話によると、彼は大学4年の後、院に進んでいた。そして、就職の内定をもらい、その報告をしに来てくれた。そして、大学での自身の研究の様子などを教えてくれた。いやぁ、嬉しいなぁ。彼がどんな道に進むのか密かに注目していた者としては、その行く末を、しかも本人から知らせてもらえて、こんなに嬉しいことはない。
 実はちょうど今朝、通勤途中で登校してくる2年生の姿を見て、もう2年生以下の生徒たちの成長を見届けることはできないんだなぁ、などとずいぶん気の早い感傷に浸っていたのだ。と同時に、その代わり自分は多くの卒業生たちの成長を見守ってきた、と一人心を慰めてもいた。まるでその思いに呼応するかのような、I君の訪問であった。
 ますます立派な青年に成長して、頼もしい限りである。こういう若者たちがこれからの日本を背負っていくことになる。彼の、そして彼ら卒業生一人一人の、未来に祝福あれと祈らずにはいられない。