「羅生門」をグループで読む授業

 9組での授業。全体の4時間目である。今日は展開部についてグループで読み進める。
 展開部は、下人が羅生門の楼上へ上る梯子から上をのぞき込み、老婆の姿を初めて確認する場面である。その時の下人の様子、また老婆の様子、そして下人の心情の変化などが注目すべき箇所だ。これらについて、前回と同じように4人1組のグループになり、4つの役割分担に従って準備してきたことをそれぞれ発表し合う。4つの役割分担は4人の中でローテーションさせている。従って、4つの役割は全員が必ず1回ずつ担当することになる。何しろ今回の授業の大きな目的の一つは、読みという行為に必要な4つの方略をバランスよく習得することにある。身近な内容に引きつけて考えることも、内容への質問を考えることも、重要な表現を取り上げることも、具体的なイメージを描いて読むことも、どれも大切な方略である。そのすべてを、しかしちゃんと経験させる授業が今までなされてきただろうか。なされてはいなかったという反省に立ち、この授業を行っている。
 話し合いは概ね活発に進む。このクラスは元来動きの少ないクラスである。でも、さすがにこの授業の形にしたら、多くのグループで活発な話し合いが展開される。しかし、それでも相変わらず話し合いがなかなか進まないグループがある。そうしたグループに途中で乱入し、話し合いに参加したりする。そして、様々な議論の種を蒔いてくる。それでも活発化されない状態もある。
 30分間の話し合いを終え、次に私の用意した質問例を扱う段階とする。その時、今回気づいたことがある。前回の授業では、この質問例を配布した後のグループの話し合いは停滞気味になった。しかし今回、質問例を配布した後、グループの様子が3つに分かれることに気づいた。

  1. 質問例を配られても、変わらず活発に話し合いをするグループ
  2. 質問例を配られても、相変わらずに不活発なグループ
  3. 質問例を配られたら、それまで活発な話し合いをしていたのに、不活発になったグループ

以上の3パターンである。「今まで不活発だったが、活発になる」という可能性もあるのだが、それは今回は観察できなかった。
 面白いと思った。どうしてこのように活動の変化のパターンが生じるのだろう。活動が変化するのはわかる。質問例に取り組ませるのは、いわば通常の授業の補填である。だから話し合いが不活発になってもおかしくない。だが、予想されるのは、前半の話し合いの影響で、活発な話し合いが後でも維持されるということだ。従って、第1のパターンは予想通りである。しかし、第2、第3のパターンが出てくるのは面白い。何故こうなるのだろう?
 これらをより分析すると、話し合いを活発化させる要因が見つかるかもしれない。ならば、それを意図的に取り入れた授業を展開することで、話し合いをより活発に行えるかもしれない。
 面白くなってきた。