玉鬘の授業

 4組での授業。こちらは淡々と口語訳を進めている。右近がかつての同輩たちで、玉鬘に仕え続けている人々と再会する場面を読んでいるが、その中で右近が夕顔のことを語ることができない場面が出てくる。このあたりの心情描写はさすがである。まずは相手の三条が以前よりも太ってしまったことから認識させられる自身の容色の衰え、それによる時間の経過を実感するところなどは細かい描写だ。私も本校に来て自分の同級生たちと久しぶりに再会した時、相手の姿の変わりように驚いたものなぁ。それは相手が私に対して思う気持ちと同じだろうが。そして、夕顔と共に失踪してしまった負い目から、夕顔の消息をすぐには語ることのできない部分の記述など本当に細やかな描写が続く。紫式部の筆力の確かさを身にしみて感じさせられるところだ。
 こうした作者の息づかいなどは、一つ一つ丹念に口語訳を続けていることによって理解できるのだろうね。訓古注釈ではないが、それが学問として通用していた理由もよくわかるところだ。