「舞姫」の授業:「教えたいことは教えない」でみたら…(^_^)

 1組での授業。5分間読書の後、前回のリーダー・レスポンスからなかなか良く書けているものを紹介する。前回のお題は「主人公の悲しみとは何か」を想像して書くことだった。さすがに生徒の書いたものはむちゃくちゃだった。しかし、その中でも良く想像できているものや、期せずして鋭い読みとなったものなどを紹介する。これは、今日の授業の導入となる。
 今日の授業では第1段における「豊太郎の悲しみ」について徹底的に生徒と対話しようと思っていた。そこで2つの作業を指示する。

  1. 豊太郎の悲しみを表す語句は何か?
  2. その豊太郎の悲しみを説明しているのはどの部分か?

 1の発問では「人知らぬ恨み」を生徒の方から出して欲しかった。そこで、5分間考える時間を与えた後で隣同士で確認させ、その後で「それは6文字だ」と限定した。そして生徒に聞いたところ「人知らぬ恨み」がちゃんと出てきた。
 次の2の発問では、「恨み」の内容は第1段では書いていない。それは「いで、その概略を文につづりてみむ。」と言っているのだから、第2段以降に書かれるのである。つまり、第1段ではその「恨み」の程度がどれほどのものだったかが記されているのである。その悲しみの程度が分かる箇所を挙げさせるのが目的であった。
 生徒からは「一抹の雲」だとか「腸日ごとに九廻す」だとか「心に深く彫りつけられた」などの箇所が出てくる。それらをまとめつつ、もっと前にないかと促す。そして、「日記の成らぬ縁故」について目を向ける者が出てきて、それらをまとめていった。
 このように、第一段というのは、豊太郎がいかに悲しんでいるのか、その悲しみの程度が甚だしいことを印象づけるための記述が次々に並んでいるのである。それを理解させるための授業だった。
 次には、「人知らぬ恨み」が、何故「人知らぬ」なのか、それを理解するために、冒頭の「石炭をばはや積み果てつ。」を考えさせようとしていたのだが、時間切れ。
 でも、久しぶりにエキサイトする現代文だった。やはり「教えたいこと」をぐっと我慢して教えず、生徒から出させていってそれをまとめていくと授業が乗ってくるような感じがする。