「こころ」の授業
3組での授業。いよいよ「こころ」研究レポート作成の1時間目である。ちなみに、研究レポートの作成要領を提示しておこう。
生徒を図書館に来させる。図書館には司書の方にお願いしておいた、漱石・『こころ』に関連した本が10数冊置いてある。もちろんこれらも参考可能である。と同時に、グループでの話し合いが主眼の授業だ。狭い教室で机を寄せ合って話し合いをするよりも、図書館の余裕のある空間でのびのびと活動させたいのである。
最初から「さあ話し合え」としてもおそらく活発にならないだろう、と考え、以下のような手順を取ることとした。
- まず30分間を個人作業とする
- 自分が担当する章を読んで、疑問と思う箇所を書き出し、調べておく
- 30分後、グループ作業とする
- 自分の書き出した疑問点や調べたことをグループ内で紹介し合い、話し合いで検討していく
個人作業の途中である生徒がやってきて、どんなところを疑問点として出してよいか分からない、と言う。そこで、彼が担当する章を一緒に少し読んでみると、すぐに次のような疑問を出すことができた。
- 私はなぜ急に「お嬢さんを私にください」と言ったのか
- 奥さんはなぜあまり驚いた様子を見せなかったのか
こうした例を挙げると、彼は納得して帰っていった。
どうやら生徒にとっては、登場人物の行動や心理の理由・背景を問うということがあまり得意でないのかもしれない。次の時間にはこのことを最初に注意事項として伝えよう。
グループ作業に入ると、案の定、活発な話し合いが繰り広げられた。私の目の前のグループでは「奥さんは自分の娘のことを知っていたんじゃないの?」などなど、内容に関して確認しようとする言葉が飛び交っていた。これは録音しておくと良いかもしれないなぁ。学習過程の解明につながるかもしれない。
最初の時間は活発な活動が引き起こされて終わった。次の時間では上記の注意事項を伝え、検討すべき箇所を漏らさせないようにして、幅広く話し合いをさせたい。