「中納言参り給ひて」の授業

 8組と6組での授業。8組は若干「すさまじきもの」が残っていたが、それを終え、次の「中納言参り給ひて」に入る。6組はここからスタート。
 「中納言参り給ひて」は実にじんと来る話である。内容そのものは清少納言の我誉めの話なのだが、個々には中納言隆家が出てくる。彼は兄の伊周と共謀して花山院襲撃事件を起こしてしまった。そのために失脚し、中宮定子の実家である中関白家は没落していく。この「中納言参り給ひて」は没落しつつある中関白家の実情を背景にしながらも、それを嘆くのではなく、定子後宮の華やかな文化の香りを必死で残そうとした清少納言の努力の結晶である。『源氏物語の時代』を読むことによって、この時の定子の悲嘆、それに対する一条天皇の英断、そして清少納言の決意が鮮やかに描写されている。その知識を持って読むと、この話は本当にじんと来るのである。
 それを理解してもらうためにも、まずはこの話は敬語を完全に使いこなせなければならない。そこで、プリントを作成した。だが、残念ながら試験までの残り時間が少ないため、じっくり彼らに取り組ませるわけにはいかない。やむなく私が説明してしまうことになる。うーん、これはもっと時間をかけてやりたいなぁ。