「羅生門」の授業ファイナル

 7組での「羅生門」の授業の最後である。昨日の公開授業で指摘できなかった部分について2点ほど補足する。
 その後、今年の「羅生門」のまとめとして、「羅生門」のその後を創作するという課題を課す。私は「羅生門」を取り上げた後には、ほぼいつもこの課題を出す。何しろ「羅生門」自体が非常に構成の整った小説であるから、その構成を真似て自分でも作品を作らせるのには向いている。また、読み解いてきた内容の理解を再確認させるためにも、この「羅生門」後日譚創作という課題は意味深いと考えている。それにPISA型読解力は、文章そのものを読み解く力だけでなく、それを活用する力も要求しているからね。この力を育成する目的もある。
 まずは後日譚創作のための構想メモを作らせる。小説の構想には3つの要素が必要だと考えている。

  1. 作品の枠組み:勧善懲悪ものか、ホラーか、心温まる話か、など。
  2. 登場人物:主人公は誰か。それと対立する人物は誰か。
  3. 物語の4要素:「冒頭」→「事件の発端」→「クライマックス」→「結末」の4つをそれぞれ一文で用意する。

 ここまで考えれば、後は筆に任せて書くだけである。枠組みを決めることで、他の2つは自ずと決まることが多い。ただ、構想にあまり時間をかけても仕方がない。構想に10分間、執筆に30分間という制限をかけて、生徒にやらせた。


 課題を出された生徒は、最初は「どうしようー」とか「検非違使が……」などと、とまどいを見せたり、隣の友人と内容について相談をしたり、しばらく騒然としていた。しかし、およそ5分ほどで教室は静まりかえり、後は鉛筆が紙の上を走る音と、私が机間巡視等のために歩き回る音以外は何も聞こえなくなった。高度の集中を彼らは見せた。そうなんです、これを行うと、生徒は極めて集中するのです。これをさせたいがためにこの課題を与える、という意味もある。
 結局、予定した時間では終わらない者が続出したため、残りの10分間も執筆のために与える。約半数の者が完成できただろうか。次の授業では、これを「回覧作文」方式でみんなで読んでみようと思う。