「手紙の書き方」を教える

 今日の授業は教養I「国語」というものである。この授業は実用的国語力を伸長させるためのもので、今日から残り5コマで実用文作成のための基礎知識を扱う。今日は「手紙の書き方」である。
 日本文化における手紙の書き方は、外国人には羨ましがられると聞いたことがある。欧米では日本のように決まった手紙の形式がないからだそうだ。欧米での手紙の形式の有無はさておき、確かに日本の手紙の形式は、さほど文章力がない人でもこの形式に則って手紙を書けば、まあそれなりのものが書ける優れものだ。しかし、逆に言うと、この手紙の形式を知らないと恥をかくものでもある。本学の学生は実習で幼稚園や保育園にお世話になる。その後で礼状を書くことは、全ての学生にとって必須のことだ。そこで、こうした手紙の書き方の講義が役立つわけである。
 授業では、まず手紙の書き方の全般について、テキストを用いて大雑把に確認させ、テキストにアンダーラインを引かせた。その後で、テキストに載っている練習問題を使って取り組ませた。その際、テキストを見ても良い、隣の友人と協力しても良い、時間は10分間、という条件で取り組ませた。こうすることで、自分でテキストを確認し、参考にしながら手紙の書き方について理解を深めることができると考えた。
 実際にやってみたところ、彼らの出来は悪かった。いかに手紙の書き方に普段から慣れていないかということであろう。しかし、それは想定内である。だからこそ、この授業では実際に手紙を書く際に何を参考にすべきかのシミュレーションをさせたのである。練習問題で良い点数を取ることが目的なのではない。学生たちが礼状などの手紙を実際に書かなくてはならなくなったときに、何を参考にしながら書いたらよいのかというスキルを与えることが目的である。そのためには役だった授業だったのではないだろうか。
 それにしても学生たちは敬語が弱いなぁ。手紙の形式に関する間違い直しよりも、敬語の間違い直しの方が気づかない。敬語を使って表現する訓練を、もっと数多くこなした方が良いのかもしれない。それも大切な言語表現能力である。