メールによるブッククラブ終了

 7月の公開講座を機に、4つのブッククラブがスタートしました。講師の吉田新一郎さんの呼び掛けにより、4冊の本にそれぞれ4人ずつのメンバーが集い、ブッククラブがスタートしていました。私はその2つに関わっていました。そのブッククラブが先週の金曜日で2つとも終了しました。いやぁ—、楽しかった! というのが一番の感想です。
 正直言って、メールによるブッククラブはけっこう大変です。1冊の本を5週間かけて読むことにして、毎週決めた曜日までにあらかじめ決めた範囲を読み、その箇所についての感想や思ったことなどをメールで自由に発信します。メーリングリストを作ると本格的になるのでしょうが、何しろメンバーは4人ですので、メールの一斉送信機能で十分に事足ります。しかし、日々の授業や仕事をしながら、決めた範囲を読むのはなかなかにしんどいことでした。一人で好き勝手に読んでいるのなら、あるいは1週間もかからないでしょう。しかし、さすがに他のメンバーに感想等を送ると考えると、読み方も真剣になります。印象に残った箇所に傍線を引いたり付箋を貼ったりし、その箇所についてのコメントをメールにして送ります。また、他のメンバーからのコメントを読み、時に反応します。これらの作業はけっこう負荷がかかりました。スタートしたのは7月下旬。その時期から8月中旬までは授業や成績算出、そして盛岡へ出張などと、業務が続きました。この合間を縫って本を読みコメントをしなければならなかったので、私などはコメントを送るのをしばしば遅らせてしまいました。
 しかし、このブッククラブを終えて思うことは、本の内容の定着度が一人の読書の時と雲泥の差だ、ということです。それはそうでしょうね。コメントを書くために一生懸命本を読み、下線を引き、付箋を貼り、強く印象に残った箇所を引用しつつ、コメントを書いていました。それだけでも記憶に残るというのに、他のメンバーが同様の箇所についてコメントするのを読んだり、自分が注目しなかった箇所についてのコメントを読むと再確認したり、1冊の本についてあれもこれも様々なアプローチをします。これで記憶に残らないわけはありません。年齢を重ね、最近は読んだ本の内容を覚えられないなぁと嘆いていた私にとって、今回のブッククラブによる本の理解度・定着度は驚くほどでした。おかげで、今回の本で読んだ内容を元にして、書かなければならない原稿を仕上げることができました。
 私の場合、この外部からの強制力は決して不快ではありません。むしろ、大変なのですけれど、得るものは通常の読書よりも多いものです。それだけでこのメールによるブッククラブは推奨するに値します。
 さらに、ブッククラブについて読んだことから、授業でブッククラブをしてみたいという思いがふつふつとわき上がってきました。後期の国語の授業でブッククラブを行うことに決めました。テキストとして指定し、学生に本を1冊買ってもらいます。これを用いて、4回ほどのブッククラブの授業を行おうと考えています。テキストはやはりこれ!

ギヴァー 記憶を注ぐ者

ギヴァー 記憶を注ぐ者

 ブッククラブの良さを認識させてくれた、私たちのブッククラブの本はこれです。
読書がさらに楽しくなるブッククラブ-読書会より面白く、人とつながる学びの深さ

読書がさらに楽しくなるブッククラブ-読書会より面白く、人とつながる学びの深さ

 いやぁ、タイトル通りですね!