ライティング・ワークショップ始動

 神無月、今日から後期の授業がスタートします。今日は、昨日書いた2つの新しい授業が早速始まりました。
 そのうち、「国語」という科目の授業があります。この授業で初めてライティング・ワークショップを試みることにしました。今日は授業ガイダンスです。学生には、この授業の目的とやり方を伝えました。やり方については目白大学の佐藤広子先生から教わったことをベースにして、多少私なりのアレンジを加えました。
 このライティング・ワークショップは、学習者が本職の作家になり、作家が行うであろう作業や方法を取ることによって「書く力」や「読む力」、「話す力」「聞く力」を養います。そこで、15回の授業の後半で学生一人ひとりによる発表会を行います。
 この発表会では、学生が「読む」「書く」「話す」から1分野を選びます。「読む」はテーマを自由に決めてブックトークを行います。「書く」はオリジナル・ストーリの作品を創作し、新聞の文芸欄への投稿を目指させます。「話す」はテーマを自由に決めてふさわしい人にインタビューをし、その内容を報告します。このどれかを選んでプレゼンテーションを行わせます。その準備をすることにより学生は国語の力を伸ばしていきます。また、発表会を聞いて評価することによっても国語の力を伸ばします。
 この授業で私が工夫したのはラーニング・アシスタント(LA)の配置です。この授業は1年生全員の必修なので、130名が一同に介して授業を受けます。そこで創作をさせようというので、一人一人の学習状況を私が把握するのはもはや不可能です。そこで、学生からラーニング・アシスタントを募り、そのラーニング・アシスタントをいだいたグループを教室の中に作らせて、学生の作業の統括はラーニング・アシスタントにさせよう、としました。こうして、この授業が、学生自身の工夫と協力によって楽しくもなり、つまらなくもなるという状況にさせました。
 学生に振り返りを書かせましたが、不安も感じているものの、今までにない国語の授業にワクワク感と期待感を持ってくれたようでした。そして、自分たちの積極的な参加によって授業を作っていこうとする意欲を見せてくれました。後は、私がいかに彼らの意欲を阻害せずに授業運営していくか、です。いえ、私が介入するのはかえって逆効果です。いかに学生たちの力を信頼し、学生たちに授業運営を委ねてしまえるか、にかかっています。
 この辺りはファシリテーション・グラフィックでファシリテーターを務めた時に感じた感覚と似ています。ファシリテーターは、自分がグループの話し合いをリードしてまとめようとしてしまったら、話し合いを潰してしまいます。グループのメンバーを信頼し、メンバーが勝手に話を進めていくのを見守ることにその真髄があります。ライティング・ワークショップを行う際にも、授業者がそうした態度をいかに最後まで取れるか、にかかっているように思います。
 さて、いよいよスタートしたこの授業、どうなることやら期待しています。