前期中間考査4日目

 今日は最終日。そして古典の考査が行われた。今回の古典は範囲がべらぼうに広い。4つの文章を扱い、枕草子蜻蛉日記、「管鮑之交」、「完璧帰趙」という豪華なラインアップだ。いきおい、生徒にとっては準備が難しいし、問題は難しいものとなろう。残念ながら他の採点などが忙しく、古典のテストは何も見ていないので、生徒の奮闘ぶりは分からない。これから楽しんでいこう。
 今日は採点を一時ストップし、明日からの授業に備えて教材研究をひたすらやっていた。明日から現代文は美術論の評論、古典は和泉式部日記、古典講読は源氏物語の「薄雲」に入る。そして、明日はその古典と古典講読の授業があるのだ。古典講読の試験は月曜日に行われたが、まだ何も手を付けていない。古典の試験は終わったばかり。どの授業もテストを返すわけにはいかないので、明日は早速本文の読解に入っていかなければならない。そこで、今日はひたすらこれら2科目の教材研究をしていた。
 古典の和泉式部日記は、為尊親王を亡くした和泉式部のところに弟の敦道親王からの歌が届けられる、という場面である。為尊親王が亡くなって10ヶ月経ったとはいえ、その弟からの秘められた関心を匂わせる歌に対してこれまた関心を示すのが和泉式部である。このあたり、生徒はどう感じるかなぁ。10ヶ月という時間をどう考えるだろうか。それで悲しみは癒えたと考えるだろうか。それとも不謹慎と感じるだろうか。また、兄弟の間で一人の女性をめぐる関係が起こるというのは、別の話がありそうだな。何か思いつくだろうか、そしてそれとの関連をどう考えるだろうか。正確な口語訳をする能力も大切だけれど、こうしたことへと目を向け、考える能力も育てていきたいね。そうすることで作品世界が大きく広がっていく。古典作品も一つの作品であることを確認できるとともに、現代においてこの作品を読む意味も確認することができる。
 古典講読の源氏物語「薄雲」の巻は、この巻の冒頭部分、京の大堰にやって来た明石の君を二条の東院に移そうと源氏は考えるが、ためらう明石の君に対して、では姫君だけでも引き取ろうと申し出、明石の君が苦悩する場面である。親子が引き裂かれる場面だが、現在の親子の情と、子どもの将来を思っての親の愛と、果たしてどちらを選択するべきなのかという苦悩の場面である。現代ではなかなかあり得ない二者択一だが、それでも十分に場面を想像し、感情移入できるものであろう。生徒はどちらを選ぶのかな。明日はこのことを話し合わせてみようか。そして、明石の君はどちらを選択するか、確認させていく作業として口語訳を行うという形に授業を仕立て上げていこうか。
 「方略」の指導という枠組みで授業を考えると、今までになかった視点で授業を考えることができる。これはなかなかの収穫である。