『教師のための読者反応理論入門』

教師のための読者反応理論入門―読むことの学習を活性化するために

教師のための読者反応理論入門―読むことの学習を活性化するために

 必要に迫られて、とうとうこの本を読み始めた。実は一昨年にもこの本を読み始めたのだが、あえなく挫折してしまった。何しろ難しいのだ。書いてある内容をほとんど理解できない。この分野に関する既有知識が余りに少なかったのだろう。類推がちっとも働かないのだ。現実世界の何とつながりがあるのか、自分の持っている経験の何とつながりがあるのか、そのあたりの方略がちっとも働かない。それで、必読文献であるのにもかかわらず、ずっと放り投げていた。
 しかし、今回この本を読んで、いやぁ驚いた。分かる分かる! 何が書いてあるのか、何を言おうとしているのか、何とつながりがあるのか、かなり手に取るように分かる。実に不思議な感覚だった。
 これは、私のこの分野に関する経験が増えたからだろう。そして、曲がりなりにも読みかじったいくつかの文献での単語やら概念やらとこの本の内容とがリンクし始めたからだろう。ほんの数ページを読んだだけなのだが、非常に重要なことがここに書いてあることにようやく気付いた。
 いやぁ、こうした本をたくさん読み、こうした分野に関する知識のネットワークを持っている人が「専門家」なのだろうね。専門家とは、ある特定分野に関する知識のネットワークを自らの頭の中に構築している人のことだと言えるのではないか。
 と同時に、自分がいかに文献を読んでいないかに気付かされる。うーむ、本来これは一昨年に終わっていなければならないことだ。これから後1年間で追いつけるのかな。不安ではあるが、やるしかあるまい。やらないよりはやった方がよい。そう考えて、とにかく進んでいかねばなるまい。