『ほしのこえ』

ほしのこえ [DVD]

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 新海誠の映画を続けて観ている。時間を遡るような順番で、彼の出世作であるこの作品を観た。以前にYouTubeで全編を観たので、内容は全て知っているのだが、改めて観るとなかなか感慨深い。
 内容はご存知の通り。西暦2048年の世界だ。異星人と交戦している地球は、国連軍が組織する戦闘部隊を選抜によって選び、それは中学3年生あたりから選び出している。美加子と昇は仲の良い同級生だ。おそらくお互いに想いを寄せ合っていたのだろう。二人は同じ高校に通うことを夢見る。しかし、美加子は国連軍に選抜され、二人は携帯のメールが届くのに1年もかかる距離に引き裂かれてしまった。そのうちに戦闘は激しくなり、ついに美加子はシリウス系にまで旅をする。今度はメールが届くまで8年以上もかかる距離だ。二人はメールのやりとりを続けるが、次第に美加子からのメールが来る時間が遠のいてしまう。昇は、美加子からのメールを待ち続けていたが、高校生になってからはそれもやめ、一人で強くなることを決意する。そして、二人はお互いに「自分はここにいる」ことを確認するのだ。
 うーむ、あらすじをまとめようとしたが、なかなかまとまらないなぁ。それだけこの作品が、含んでいるものが多いということか。ガンダムを思わせるような巨大ロボットや、飛行船の形をした異星人の姿や、国連軍の大艦隊など、この後に作られる作品よりもずっとSF的だ。
 この作品のポイントは、美加子のメールにある言葉、「私たちは宇宙と地球に引き裂かれた恋人の最初の世代だ」というのが象徴している。そして、ラストの美加子が戦闘の中で宇宙を漂ってしまう(?)その中で、互いが「私はここにいる。」と確認するのが主題をよく表しているのだろう。冒頭で美加子が「私はどこにいるの?」と問いかけ、ラストで答えを出している。それがこの作品の主題なのだと思う。