お悩み相談を受ける

 今日の日程が終わった後、一人の生徒が私を訪ねてくる。国語のセンター問題が解けない、と言うのだ。この生徒は11月頃にも、また冬季講習前にも私のところに相談に来て、現代文、特に評論の問題が読み取れないという悩みを訴えていた。私は参考書を紹介したり、二項対立で読み解く方法を伝授したりした。そして、冬季講習でも二項対立を意識して読み解く方法を具体的に示してアドバイスをした。生徒はその方法を休み中に忠実にやってみたようである。また、同時に参考書に記されていることも意識して解いてみたそうだ。しかし、今日の模試では文章に何が書いてあるのかさっぱり読み取れなかった、というのだ。
 これは、本人も言っていた通り、様々な方法論は頭にあるものの、それを全部当てはめようとしてかえって文章の言わんとすることが読み取れなくなっている状態であろう。あれもこれもと詰め込むあまり、本来の文章読解ができなくなってしまったのだ。これは真面目な生徒だからこそ、起こりうる状態であろう。
 そこで、もう方法はシンプルに一つだけにするようアドバイスした。そして、最初に夏休みの時点で自分なりに文章を読み取り、そこそこ理解できていた方法をもう一度やってみることを勧めた。それは、「しかし」などの逆接の接続詞や「つまり」などのまとめの接続詞に注意しつつ、重要と思った箇所に傍線を引いていく、というものである。接続詞に注目するのはとてもよい。それで文章の構造がつかめる。そして、重要箇所に傍線を引くこともよい。それに加えて、その傍線を、筆者の主張と一般の主張という2つの対立構造を意識して引くように、と勧めた。
 世の中には文章読解のための様々な方法を紹介するものがある。どれも、その人にとっては自信のある方法論なのだろう。しかし、結局は自分自身が「これだ!」と思う読解方法を見つければよいのである。自分なりの道具を手に入れたら、もう愚直にそれを使い回すのが一番よい。自分がつかんだ方法が、自分に一番しっくり来るのは言うまでもない。
 さて、この生徒はこれからどうなるかな。あと約10日間。要するに「自信」を持てればよいと思う。頑張って欲しい。